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あの素晴らしい日々をもう一度

「さてと、小竜姫の実力を見せて貰おうか?」

「俺が? そういうことは小竜姫様本人に言ってくれよ。 俺は小竜姫様の気まぐれで試験に出たんだからさ」

ピートの回復を済ませ作戦会議も終わった横島と小竜姫は横島の次の試合の為に会場に戻っていた。

横島の対戦相手は当然ながら雪之丞であり、彼はどうやら横島で小竜姫の実力を計ろうと考えたようだが横島ははっきり迷惑そうである。


「まあ、細かいことはどうでもいいさ。 重要なのは貴様と全力で戦うことだけだからな。」

一方の雪之丞は元々物事の後先をあまり深く考えるタイプではなく、小竜姫の誘いに乗る気になったのもただ単に強くなりたいからという理由と小竜姫の誘いに乗ればGS免許が取れると考えたからに過ぎない。

ただ勘九郎がどう考えてるかは雪之丞も知らないが、小竜姫が現れた時点で雪之丞自身はメドーサの計画が漏れてることを理解したし自分達がそのままGSになれるのかという疑問も密かに抱いていた。

そもそもメドーサにとって自分達はただの使い捨ての駒でしかなく、雪之丞はメドーサに従う決意をした時からいつか力を付けて自由になってやるとの意志があったのだ。

そういう意味では小竜姫の誘いは雪之丞にとって今より強くなれる事に加えてメドーサから逃れるには都合がよかったとも言える。


「美神さん、仮にこのまま何事もなく試験が終わればメドーサはどうすると思いますか?」

そして小竜姫は神族としての特権で試合場の近くまで入って来て横島と雪之丞の試合を見守るようだったが、ふと一緒にやって来た令子にメドーサの出方を尋ねてみていた。

正直言えば小竜姫も迷っている部分があり、何処まで自身の過去と同じくするべきか悩んでいる。

すでに横島に対して歴史を変えてしまっただけに今更にも思えるが、歴史など些細なきっかけで変わってしまうだけにどのみち小竜姫自身が過去と違う時点で違いがあるので細かい部分ではあまりあてにはしてないのが実情だった。


「うーん。 大人しく帰るとは思えないけど、仮に勘九郎達にGS免許が交付される可能性があるなら暴れるはずもないんでしょうね。 なんというかメドーサが困るのが目に見えるようだわ。」

対する令子は小竜姫に尋ねられたメドーサの心理を推測してその行動を考えてみるが、考えれば考えるほどメドーサ泣かせな作戦だとしか思えない。

元々GS協会に手下を潜り込ませるのが目的のメドーサに対してその計画の証拠をこの場で突き付ければメドーサは当然ながら暴発するだろうが、証拠を突き付け計画を阻止しなければメドーサには自らの計画を遂行するために暴れる理由がないのだ。

仮にメドーサがGS協会側の白龍会への調査名目で勘九郎達にGS免許が与えられない可能性に気付いても、明確な計画破綻でない限りは無意味に暴れるとも思えない。

まあ後日になって計画が破綻したメドーサがどうするかは分からないが、メドーサが後々報復に来るにしても正直なところ魔族を恐れていてはGSなどやってられないとの現実もある。

理想はこの場でメドーサを倒すことだが、天龍童子の時を思い出すと周囲の人が小竜姫の足を引っ張るのは明らかだった。

小竜姫がメドーサを見逃すという以上、それが無難だと令子にも思えた。


「メドーサは私や美神さんで遊んでるだけですからね。 まともに相手をすれば向こうの思うつぼです。」

卑怯とは言えないがあまりにしたたかな作戦に令子は小竜姫らしくないなと見つめるが、小竜姫はメドーサのペースに自分が振り回されるのが嫌だとの本音も無いわけではない。

ぶっちゃけ昨日辺りまでは未来と同じ流れにしようかとも考えていたが、どうせ戦っても決着がつけられない以上は戦う意味がないと考えたらしい。

下手に戦って小竜姫自身の変化や今の実力を悟られると少々まずいかとも思ったようだが。



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