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卒業の意味

そんな中横島も、卒業式のプレッシャーから解放されて喜びや寂しさが込み上げて来ていた


「お前らよかったら、夜魔鈴さんの店に来ないか? 別にパーティーみたいに派手じゃないけど、知り合いを何人か呼んでるんだ」

突然そんなことを言い出した横島を見て、愛子達は少し考え込んでしまう


(お金はいくら必要なのかしら…)

(お金が無いのですが…)

(とてもそんな余裕は無いですケン)


妖怪の愛子はもちろんお金などほとんど無いのだ

普段は何気に学校の先生の手伝いをして小遣いを稼いでいるが、もちろん余裕など無いし

それに貧乏と言えば横島以上かもしれないピートとタイガーは、もちろんお金が無い

そんな三人の暗い表情を見て横島は苦笑いを浮かべる


「言いたいことは良くわかるが、金は要らんぞ? そんな豪華なパーティーする訳じゃないしな」

横島のそんな言葉を聞くと愛子は嬉しそうな表情をして、ピートとタイガーはホッとしたように笑ってしまう

その後横島は、唐巣やエミもよかったら誘って来てほしいと言ってその話を終える


そして横島やクラスメートの会話は尽きないのだが、担任の先生が最後の挨拶をして卒業生達は帰ってゆく



横島達が最後のホームルームをしている頃、魔鈴達は横島を待ちながら唐巣と話をしていた

横島がピート達を誘ったように、魔鈴が唐巣を夕食にと誘っていたのである


「私が行っていいのかい?」

「はい、お時間がありましたらいらして下さい」

遠慮気味に尋ねる唐巣に魔鈴は笑顔で返す

唐巣はそんな魔鈴の表情を見つつ、迷惑にならないなら行かせてもらうと告げていた



卒業生達が校舎から現れると、魔鈴達は唐巣と別れ横島を探す


「横島は何処かしら…」

「見つけたでござる!」

キョロキョロと横島を探すタマモとシロは、その姿を見つけると嬉しそうに駆け寄っていく


「おう! お前ら待ってたのか!」

駆け寄って来たタマモとシロの頭を撫でて笑顔を見せる横島に、魔鈴と百合子は幸せそうな笑みを浮かべて見ていた


そして横島の背後ではピートがたくさんの女子生徒に囲まれて、持ち切れないほどの花束などを受け取っていたのは言わなくてもわかるろう
 
ちなみにピートの制服のボタンは、教室を出た瞬間に全部持っていかれている

あまりの人の多さに誰がどのボタンを持って行ったかわからないのは、仕方ないことだろう


愛子は先生達の手伝いをするからと教室に残り、タイガーは特に何も無く一人で帰って行っていた



「忠夫と魔鈴さん達もそこに並んで」

校門の前で記念写真を撮るたくさんの卒業生達に混じって、同じように記念写真を撮る横島達

横島が一人での写真や、魔鈴とタマモとシロとで写した写真

それに百合子とも一緒に写真を撮り、横島達は帰ってゆく



ちなみに余談ではあるが…

この日横島と魔鈴達が一緒に撮った写真は、遥か後の世で注目を集めることになる

アシュタロス戦の真実と同様に謎の多い横島の人生

それが後世の歴史家によって研究された時、この写真は数少ない横島の日常を知る資料として扱われることになる


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