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麻帆良祭

早朝の賑やかな仕込みら始まった二日目の営業だが、この日も細かなミスやトラブルは何度かあったが全体的には順調だった

少しずつだが慣れていく少女達の飲み込みの早さは目を見張るものがあり

初日にはあちこちに気を配っていた横島も、二日目にして多少の余裕が生まれ来る


「おし、ケーキでも焼くか」

ちょうどお昼時の混雑が終わった頃、横島は厨房の人数に余裕があるのを確認すると突然ケーキを焼くと言い出す

余裕のある材料を確認しつつしばし考えていた横島は、桃を選んでケーキ作りを始める


「えっと……」

「いつものことやから大丈夫や。 横島さんいつも気分次第でケーキ焼いたりするんよ」

客も空いて来て確かに厨房は余裕が出来ていたが、突然ケーキを作り出す横島にあやかは微妙な表情を浮かべてなんと言えばいいか迷ってしまったらしい

他にも横島の日常に詳しくない者は不思議そうに横島を見てるが、木乃香はいつものことだから慣れたものだった


「何を作るん?」

「桃のパウンドケーキでも作ろうかと思ってな。 手伝ってくれるか?」

日頃からいろんな料理を作る横島なだけに、周りの少女達も興味津々な様子である

そんな中で横島はちょうど手の空いている木乃香に手伝ってもらい、現在ある材料で作れる桃のパウンドケーキを作るらしい

途中本来の調理もきっちりと熟しながらケーキを作る横島と木乃香に、クラスメート達は驚き見守っている


「結構たくさん作るんですね」

「三時のおやつに限定販売してもいいかと思ってな」

あやかや他の者達は自分達のおやつでも作ってると考えていたようだったが、横島はしっかり売るつもりだった


「売るんですか?」

「パウンドケーキなら中華まんみたいにそのまま気軽に食べれるしな。 限定五十個くらいなら売れるだろ」

思いつきで始めたように見えて意外と考えていた横島にあやか達は僅かに驚くが、自由気ままな横島らしい行動でもあった

そんな訳で三時から限定五十個で売り出した桃のパウンドケーキだったが、僅か一時間で完売することになる

宣伝もなく本当に突然だったのだが、限定の文字に惹かれた女性達が結構買っていたのだ

中には一度食べた人が気に入りお土産に再度買った人が居るほど好評だった

正直大学部の近辺ではマホラカフェと言われても知る人はほとんどいなく、何処の店かと逆に聞かれることの方が多い

そんな環境で売れただけに純粋に味の評価で売り切れたのだろう

まあ材料費が安いことから値段が安いのも大きな理由だったが……


「生地はしっとりとしていて桃の味が絶妙ですわね。 紅茶が欲しいですわ」

「一口だけというのが寂しいですね」

焼き上がったケーキを売る前にみんなにも一口ずつ味見をさせていたのだが、日頃美味しい物を食べ慣れてるあやかと千鶴にも好評だった

とても有り合わせの材料で作ったとは思えないいほどである


「もっと作ればよかったのに」

「残念ながら余ってた材料はもうないよ。 とりあえず桃はゼリー作った余りだった奴だからな」

一口しか味見出来なかった少女達はもっと作って欲しいようだったが、残念ながら余りの桃がもうなかった

もっと食べたいと言う少女達に、横島は今度作るからと約束して営業を続けていく


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