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梅雨の終わり

同じ頃、横島・雪之丞・タマモ・シロの四人は異界の魔鈴宅付近でいつものように修行していた

修行と言っても今日は雪之丞のGSとしての訓練であり、破魔札の練習をしている


パンッ!!

雪之丞が破魔札に霊力を込めて投げると爆竹のような渇いた音がするが、標的に当たってなかった

破魔札に関しては一般的な使用方法は主に二通りあり、直接たたき付けるか破魔札に霊力を込めて投げるかである

前者は簡単だが標的の懐に飛び込む必要があり、後者は離れた場所からでも使用出来るがある程度コントロールする必要があった

それほど綿密なコントロールが必要な訳ではないが、破魔札を使った事がない雪之丞はなかなか上手くいかないようである


「意外に不器用だな~」

近くで雪之丞が練習する様を見物していた横島だが、実は結構簡単に出来ていた

横島も離れた場所から破魔札を投げた事はなかったのだが、魔鈴に教わると2~3度の練習でだいたい出来ている

元々の器用さが現れた結果だろうが、魔鈴はかなり驚いていた


「加減がわからねぇんだよ」

上手くいかない事に少しいらつき気味の雪之丞だが、本気で気合いを入れればコントロールは可能なのだ

ただ破魔札は大まかな方向性のコントロールなどくらいでいいため、必要以上に集中する必要などないし集中しないで投げれなくてはならない

その微妙な力の抜き加減がわからないようだった


「破魔札は何かしらの攻撃と合わせて使うからなー 集中しなくても飛ばせるようにならんとダメだからな」

霊能の素人である横島だが、破魔札に関しては多少知っている

かつて令子が神通棍の次に多様していたアイテムだし、基本的に何かしらの攻撃と組み合わせて使う事が多いため楽に標的に当てる必要があった


「雪之丞の霊力は強力過ぎるのよね。 いかに力を抑えて手数を増やすかが必要だわ」

「力を抑えるのは難しいでござるよ?」

横島と一緒に見物しているタマモとシロだが、タマモからすれば雪之丞は力の加減が下手だが同じく力の加減が下手なシロは雪之丞の気持ちがよくわかるようだ


さて何故霊波砲を最も得意とする雪之丞が破魔札の練習をしてるかと言えば、雪之丞の霊波砲が強力過ぎるのである

強い妖怪や大型の悪霊や魔族が相手ならともかく、一般的なGSが除霊する程度の弱い相手では強力過ぎて使いどころが難しい

雪之丞としては一応手加減して使うが、それでも一般的な悪霊には強すぎる

しかも除霊自体が建物の内部や建物の近くの屋外が多いため、強力過ぎる霊波砲は周りに被害を与えるため使えない事が多かった


魔鈴はそんな雪之丞に、最近一般的なGSが使う除霊アイテムの使い方を教えている

実際雪之丞が経費がかかる破魔札を使って除霊するかはわからないが、GSならば誰もが使う基本中の基本だけに覚えておいて損はないし

一番の目的は雪之丞の力のコントロールが主な理由であった


元々強い者と戦う事だけを追求していた雪之丞は、GSとしての基本技術もなく弱い相手と戦うのが予想以上に下手だったのだ



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