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真の歴史へ・その二

「あんたが真剣なのはわかった。 けどね、だからと言ってやり方は変えないよ」

おキヌが真剣なのを理解した石神だったが、だからと言って浮遊霊を認める事は別だと言い切る


「わかってます。 でも私も諦めません。 わかってくれるまで何度でも来ます」

おキヌは笑顔でそう告げてこの日は帰っていく



それからおキヌと小鳩は、ほぼ毎日のように石神の元に通っていろいろな話をして行った

時には浮遊霊や愛子なども連れて行き石神と話をさせていくその方法は、横島達も予想しなかった事である

浮遊霊達は石神に怯えて、石神は浮遊霊を邪魔そうにするがおキヌ達が居る前では追い出す事はしなかった



「あの…、お願いがあるんです」

そして一週間が過ぎたある日、おキヌは始めて横島達に頼みがあると言い出す


「石神様を事務所にお招きしたいんですがダメでしょうか?」

真剣な表情で語るその表情は、不安と同時に決意のようなものが見えている


「ここまで頑張ったんだから、おキヌちゃんの好きにやっていいよ」

横島は迷う事無く、おキヌのやりたいようにやらせる事にしていた

これは小竜姫達とも相談の上での結論であり、一度任せたからには最後までおキヌと小鳩にやらせてやろうと言う事に決めているのだ


「ありがとうございます!」

横島の返事に安心したおキヌと小鳩は、笑顔で石神を招く準備を始める



「おキヌちゃんの考え方、少し横島に似てきたわね」

小鳩と相談しながら準備をするおキヌを見て、ルシオラは意味ありげな笑みを浮かべていた


「石神と浮遊霊達を仲良くさせようってか」

「言うほど簡単じゃないわよ。 気難しい神族と気まぐれな浮遊霊を仲良くさせるなんて普通は考えないもの」

おキヌの考えに横島は素直に感心するが、タマモはそれは非常に難しいと理解している

一般的に神族と浮遊霊の両者には越えられない壁があり、互いに心を開くことなどめったに無い


「おキヌちゃんも小鳩ちゃんも、神族とか浮遊霊とか気にしないのよね~」

ルシオラは思わず笑ってしまう

二人が種族や存在意義の違いなどを気にしない原因は、横島や自分達にもあるのだ

自分達と間近で付き合っている事で、自然と細かい事を気にしなくなっている


「おキヌちゃんは、未来の時とは性格が微妙に違いますね。 美神さんが居ない影響でしょう。 私も彼女達がここまで出来るとは思いませんでしたし……」

おキヌと小鳩が予想以上に精神的に成長している事は、小竜姫にとっても嬉しい事だった

自分達で考え行動する事こそが経験を積む上で大切だし、その方法が戦う事以外なのも嬉しい誤算である


「おキヌちゃんは良くも悪くも他人に影響されやすいからな~ ある意味赤ん坊みたいなもんだし…」

身近に居た存在が違うだけで、人は簡単に変わるのだと横島は改めて思う

特におキヌは300年の空白があるため、何も知らない状態だった

そんなおキヌが常に一緒に居たのが令子なのだから、その価値観に影響を受けても不思議ではないのだ


横島達がそんな話をしてる間にも、二人は石神を招く準備を進めていく

当初はおキヌと小鳩に多少の不安を感じていた横島達も、予想以上に二人が頑張っている状況に今は安心感が強くなっていた


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