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▼狐の夢・第2話の壱

「『見鬼君』もタマモの超感覚も『策』『敵』や『探』『査』の文珠にも引っかからん相手にどないせーっちゅうんじゃーっ」

「ちょっと、耳元で叫ばないでよっ!」

二人は未だ戦略的撤退の真っ最中であった。

姿が見えないだけでも厄介なのに、相手はメドーサ並みの魔力砲まで放ってくる。
迫る魔力砲を『盾』で防ぎ、狐火で迎撃しながらなんとかここまで凌いできたが、横島の霊力もタマモの妖力も底をつきかけていた。
おまけに全力疾走もしているので体力はすでに限界に近い。

(これはちょっとシャレになんないわね。本気でヤバいかも…)
タマモがそう思ったとき、横島から声がかかった。

「タマモ、この携帯電話持って先に行け。オレがなんとか食い止める!美神さんに状況を知らせてくれっ!」

確かにこの男は今までの除霊の際もピンチになればなるほど、奇想天外な策を持って状況をひっくり返してきた。
しかし今回ばかりは分が悪い。
タマモの獣としての勘が先ほどから警鐘を鳴らしている。
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