横島の部屋で雪之丞は暇そうにテレビを見ていた


魔鈴は首を傾げつつ雪之丞に話しかける

「あの… 横島さんは…？」

「横島ならもうすぐ帰ってくるはずだぜ 今日はバイト無いって話だしな」

雪之丞はあまり表情をかえずに魔鈴に話した


お互いあまり会話が無く、横島の帰りを待つ


「ただいま～」

３０分くらいしたら横島が帰ってきた

横島は部屋に入ると魔鈴が居たのに驚いていた


「あれ？ 魔鈴さん、久しぶりっすね～ なんか厄介な仕事っすか？」


横島はいつもの調子で魔鈴に話しかけた

「いえ… この前のお礼をしたいと想いまして…」

魔鈴は少し不安そうに話した

決意して来たが、迷惑だったかと思うと怖かった


「あ～、そんなこと言ってましたね～ 本当だったんすね」

横島は驚いたように話した

まさか魔鈴がお礼に来るとは思わなかった


驚いてる横島を見て魔鈴はホッとしていた

とりあえず、迷惑ではなかったらしい


「横島さんが来ないから私からお礼に来たんですよ」
　
魔鈴は少し安心して笑顔で話した


「いや～ まさか本当にお礼をしてくれるとは… あの時、お礼を言われたんで十分っすよ」


横島は苦笑いして魔鈴な話した


魔鈴はそんな横島を不思議そうに見ていた


（この人はどんな環境で生活して来たんでしょう… 命を助けてもらってお礼をするのは当然だと思うんですが…）


魔鈴は少し困惑していた…


だが、お礼を先にと思い出して、料理を出した


「たくさん作って来たので、二人で食べて下さいね」

魔鈴は料理を並べ終わると二人に微笑んだ

「お～ うまそうだな～ 俺もいいのか？」

雪之丞は魔鈴に進められて食べようとした


「雪之丞！ 俺が先だ！ 全部食うなよ！」

横島と雪之丞は喜んでがっついて食べていた


「雪之丞！ その肉は俺のだぞ！」

口に食べ物を詰めた横島が雪之丞に抗議する

「ふ… 早い者勝ちだ…」


二人は口げんかしながらあっという間に食べていった


魔鈴はそんな二人を見て嬉しかった


（喜んでもらえたみたいですね…）


だが魔鈴はあっという間に料理を食べていく二人を見て複雑な気分だった…


食べる物にこまる生活なのは見てればわかった

この日本で、しかもＧＳという特殊技能を持つ彼らが食べ物にこまるとは…


彼らの能力を考えれば有り得ないことだった


雪之丞は特定の事務所で働いてないのが原因に思えるが…


横島は美神事務所で働いているのだ


日本で一番稼いでいるＧＳ事務所


まあ、所長が問題なのだろうが…



魔鈴が考え事をしていると、二人は食べ終わっていた

「いや～ 魔鈴さんありがとうございます。 久しぶりにまともなメシを食いましたよ」


横島は満足そうに話した

「そうだな… 俺も弁当意外では何時ぶりだろう…」


二人は満腹で幸せそうに話した


「二人共、若いんですから… 食事はきちんととらないとダメですよ？ 体が資本の仕事なのに…」

魔鈴は少し呆れたように話した

「すいません… 最近は学校に行ってるんで、バイトあんまり行ってないんですよ… 美神さんは文珠は捕るくせに時給はくれないんで…」

横島はすまなそうに話した


魔鈴は別に謝ってほしい訳では無かったのだが……

「横島さん… 文珠は大変貴重で値段のつけられない代物です。 それを第三者に軽々しく渡すのはどうかと思いますよ。」

魔鈴は横島に言い聞かせるように話した
「いや～　実感が無くて…　でも知らない人には渡してないですから」

横島は苦笑いでかわそうとする

横島は自分の価値と能力を全然理解して無かった…


魔鈴は少し迷ったが、最近知った事実を横島に話した

「横島さん… 少し前から文珠が裏ルートで売りに出されてます。 値段は１０億です。 文珠はその応用範囲の広さから、第三者に渡ればかなり危険です。 売っているのは厄珍堂… 恐らく美神さんから流れてます」

魔鈴は険しい表情で話した


さすがの横島も雪之丞も、その話には驚きを隠せなかった


「そんな… まさか美神さんが…」


横島は顔をひきつらせて話した


「美神さんには文珠をどのくらい渡してますか？」

魔鈴は険しい表情のまま横島に聞く


「週に２～３個です」