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梅雨の終わり

まあ令子の場合はいろいろ困った人間ではあるが、その半面では誰も解決出来ないような難解な依頼などを複数解決しており確かな功績がある事も確かだった

令子の功罪の判断は相変わらず難しいが、世界最高とも言われるGS美神令子を必要と考える人間もまた多いのが現実である

若い霊能者達が英雄と言われる令子に憧れるのは当然だし構わないが、中途半端に噂や表面の形だけ真似られるのが一番厄介だった


「それに関しては授業の方で対応した方がいいのでは……?」

「それはもうやってるわ~。 でもなかなかね~」

唐巣は授業などで対応するべきだと考えるが、その辺りはすでに実行済みだが成果が芳しくない

一・二年の生徒はあくまでGS試験を目標にしているためにどうしても力や戦闘技術に没頭しがちだし、三年は半数以上の生徒がGSを諦めており今更霊能者としての基礎的な勉強を避ける傾向がある

結局唐巣は、魔鈴に無理をさせないで欲しいと頼むしかなかった



それから後日、六道女学院の特別講師の依頼を話し合う為に六道家を訪れた魔鈴だが、話し合いというレベルてはなかった

冥菜から依頼されたのは、実際の体験談や自分の除霊に対する考え方や方法を簡単に語るだけである

詳しい内容は任されるが注意事項としては、宗教に関しては否定も肯定もしないで欲しいというものだった

これは魔鈴とは無関係で六道女学院の全体の方針の一つであり、宗教や神族間の対立を持ち込まないという方針に影響している

霊能と宗教は切り離せないが、GSと宗教は切り離したい六道家とGS協会の意向があるのだ


「貴女が弟子を取らない方針なのも伝えるし、迷惑はかけないわ~ 他に要望があれば考えるわよ~」

特別講師の内容を話していく冥菜だが、終始魔鈴に任せるという印象が強い

まあ生徒に実際のGSと触れ合う機会を与えたいだけなので、講師になる人間の自由にさせてるのが普通なのだが……


「……」

一方魔鈴は冥菜の依頼を聞いて考え込んでいた

事前に百合子から条件や内容など細かな部分に気をつけろと言われていたが、特に問題があるように見えない

契約は基本的に一回だけになっているし、学校側の要望と特別講師側の意思が合えばまた次の一回を契約するようだった


特別講師はとにかく数が多く、少しでもたくさんのGSと触れ合う機会を与えたいという学校側の意思がある

それにたまに話を大袈裟にしたり嘘を交えて自慢話をするGSも居るために、基本的に一回事の契約になっているようだ


(気になることと言えば、おキヌちゃんが居ることなんですよね……)

講師の内容や契約は問題ないと考える魔鈴だが、気になるのはおキヌの存在である

まあこの仕事に横島を関わらせるつもりはないのだが、と言うか横島には無理な仕事だった

基本的な霊能の知識もない横島の体験談など、生徒に話しても何の役にも立たないのだ


「この依頼、お受けします」

少し悩んだ末に魔鈴が出した結論は、依頼を受けるというものだった

筋は通っており横島達に負担をかける訳ではないし、世のために働きたいという魔鈴の心情からしても引き受けるべきだと考えたようだ

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