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卒業の意味

卒業式開始時刻が迫り美智恵と西条が会場に入ると、ガヤザヤと騒がしかった会場が一瞬で静まりかえる

来賓や保護者や生徒なと、その場に居る者の視線が全て美智恵に集まっていた


「あれがオカルトGメンの美神美智恵か…」

「アシュタロスを退治した中心人物ね」


会場内の人がコソコソと会話しながら美智恵を見つめる

羨望や憧れ、嫉妬や妬みなど視線の種類は様々で令子の時と大差無い

しかし令子の時と違うのは、美智恵の表情だろう

自信に満ちたオーラを周囲に見せ付けるような、そんな雰囲気で自分に用意された席に座った


「相変わらず凄い学校ですね… 日本のオカルト業界のVIPが勢揃いしてますよ」

「日本のオカルト界を近代的に発展させてきたのは六道家ですもの。 それに霊能を中心とした六道グループに逆らえる人間は日本にはそうは居ないわよ」

小声で会話する西条と美智恵

自分達も目立っているが、二人が座る来賓席はオカルト関係者のサミットのようになっていた


同じオカルト業界でも立場や役割も違うGS協会とオカルトGメンの幹部が、勢揃いするのは六道家の関連行事くらいだろう


「それより、見所ありそうな卒業生はチェックしてね。 後でスカウトに行くんだから…」

会場の緊迫した空気に、さすがの西条も微妙に飲まれていた

美智恵はそんな西条をたしなめつつ、今日のもう一つの目的である将来性の高い人間を探すことにする


最も、本当に優秀な生徒はすでにGS事務所などに就職が決まっている

それに霊能者の大半は親などからの遺伝による影響が大きく、GS志望の生徒のほとんどは親の関係者などの元で修業を続けることになっていた


合格率の極めて低いGS試験

エリートである六道女学院の生徒も、卒業後数年かけて何度も試験に挑み合格を勝ち取るものであった

そのため実際にはスカウト出来る可能性は低いが、それでもエリート集団なのだ

他の場所で探すよりは遥かにスカウト出来る可能性高い


あまり露骨な引き抜きはGS協会や六道家の手間出来ないが、本人がオカルトGメンに興味があれば別である

今日ここで見つけた優秀な将来性のある人物を、後日美智恵や西条が声をかけることになっていた


「在校生も確認しますか?」

「そうね… 来年に向けて声をかけるのは必要ね」

卒業生がまだ居ないので美智恵と西条は、すでに会場で座っている在校生の生徒を見ながら将来性のある人物を探していく


卒業式を利用して優秀な人物を探す二人だが、実は同じことをしてるのは他にも多数いた

GS協会幹部や関係者、それに保護者の中にもスカウトを出来そうな人を探している人達はかなり居るようだ


これは六道女学院の対外的行事に共通していることであり、入学式や卒業式や文化祭などは、かなりのスカウト目的の業界関係者が居るのである


無論、六道家は全て承知の上でのことだ

第一、本当に優秀な人物を一番にスカウトするのは六道家に近いGS達なのである


ただ、親や親戚に全くオカルト業界に関係無い生徒は少ないため、実際にスカウトが成功するのは少数であった


そんな様々な思惑を抱える中、卒業式が開始する時刻が間近に迫っていた


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