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▼狐の夢・第2話の壱

そう言いながら、美神は『うるとら見鬼君』と数枚の結界札と破魔札、懐中電灯と連絡用の携帯電話が入ったリュックを横島に投げ渡す。
ただの『見鬼君』ではなく『うるとら見鬼君』を渡すあたりに美神の配慮が見え隠れするが、普段の態度がアレなのでそんな小さな配慮には誰も気付かなかった…

「へ~い」
「しょうがないわね」

横島は緊張感の欠片もなく返事をし、部屋を出て行く。
タマモも興味なさ気に答えを返すが、その顔はどこと無く嬉しそうであった。

今回のような現地調査など、本来美神が受けるような依頼ではないのだが今回は事情が違った。
そう、ただ単にギャラがよかったのだ。
『現世利益最優先』の彼女が飛び付かない訳がなかった。
タマモの超感覚が有るし、いざとなれば横島の文珠でなんとかなる、と楽観視していたのかもしれない。
依頼内容の吟味も、依頼人の背後関係も確認しなかったのだ……

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