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その三

そんな慌ただしい日から数日後、横島は明日菜と木乃香を連れて成田空港に向かっていた


「ネギ君ビックリするやろうなー」

「そりゃ突然イギリスからお姉ちゃんが来れば驚くわよ」

三人が空港に来た理由はネギの姉である、ネカネ・スプリングフィールドを出迎える為である

姉が日本に来るなど知らないネギがどう反応するか楽しみな木乃香に、明日菜は似てると噂のネカネに会うのが楽しみなようだ


さて何故突然ネカネが日本に来るかと言えば、木乃香と千鶴達が小太郎の歓迎会を開いた夜に遡る

千鶴達や楓と古菲が一足先に帰った後、横島はエヴァ・茶々丸・木乃香・刹那・夕映・まき絵・明日菜・のどかを集めてネギの姉を日本に呼び寄せたい考えを明かし、みんなの意見を聞いていた


「お姉さん何かの仕事してるんじゃなかったかしら? 突然呼んで来れるの?」

驚く一同の中で最初に疑問を口にしたのは明日菜である

以前ネギから姉が、魔法学校の教師か何かをしてると聞いた記憶があるのだ


「俺もそこの事情は解らんが、一年程度の出張とかにすれば出来ると思う。 まあ学園長との交渉が前提だけど……」

「ジジイなら可能だな。 そもそも坊やの修行もジジイが絡んで選んだんだろうしな」

横島としては麻帆良学園への出張や派遣という形で、長期的にネカネを麻帆良に呼びたいと考えている

エヴァが学園長ならそれだけの交渉が可能だと言うが、明日菜達は困惑の表情を隠せない


「あいつに必要なのは魔法の修行じゃなく肉親なんだよ。 このまま中途半端に大人の世界に関わらせてもいい結果にならんしな」

横島の言葉に一同は沈黙して考え込む

特にネギが麻帆良に来て以来一緒に住んでる明日菜と木乃香は、横島の考えに思わずこの数ヶ月を思い出していた


「立派な魔法使いになるのは結構だが、あと五年……いや三年でいいから肉親に甘える環境に置いた方がいい。 あいつは愛情に飢えてるからな」

ネギの置かれた特殊な環境を考えた結果、横島はネギに肉親の愛情を与えることが最優先だと考えている

愛情を知らないネギは、どうしても生に対する執着心が薄い気がするのだ

英雄と呼ばれた父親に憧れ父親を目指すのも、結局は愛情に飢えてるとしか横島には思えなかったのである


「幸せを知らん奴は、自分が幸せになって人を幸せにするのは無理だろ? あのまま行けばロクな将来にならんぞ」

横島の言葉は重かった

ネギは人よりずっと頑張っているが、それが危うく感じるのを明日菜達は何度もあったのだ


「ネギ先生のお姉さんがどんな人か存じませんが、私は賛成です。 あのまま突っ走ればいずれ取り返しがつかない過ちになる気がするです」

最初に答えを出したのは夕映だった

近くに横島が居るからか、ネギの行動が酷く不安定で危うく見えるのだ

最近だけでも図書館島の地下とヘルマンの事件の二度も危険な目に合っている

どちらも一歩間違えれば死者が出た可能性も否定出来ないだけに、ネギの欠点を憂慮していた


「うちも賛成や。 ネギ君に必要なんは家族や友達やと思う。 正直アスナにお姉ちゃんの面影を求めてる姿は、見てて辛いものがあるわ」

夕映に続き結論を告げた木乃香だが、彼女はネギと暮らしてるためより深刻な現状に気付いている

そもそもネギは明日菜に姉の面影を重ねてみてる節があったのだ

一人で寝れない日などもあるのを理解してるだけに、せめて姉とは一緒に暮らさせたいと考えたようだった

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