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幻の初恋

厄珍は両手に怪しげな商品の入った袋を抱えておキヌの前に再び現れた


「これで全部アル。 代金はいつも通りでいいアルヨ」


おキヌは両手に怪しげな袋を抱えて、厄珍の店を後にする


「これでばっちりですね… くすくす…」

おキヌは1人になると抑えていた漆黒のオーラを発して、笑顔になり事務所に帰っていく



その頃妙神山では…


「幸せや~ もう幸せや~」

横島が小竜姫の膝枕を堪能していた


小竜姫はそんな横島を優しく見つめ、愛おしそうに頭を撫でる


「あの2人、わたち達の存在を忘れてるんじゃないでちゅかね?」

「小竜姫の機嫌がいいからそっとしておくのじゃ」

妙神山のゲーム部屋ではパピリオと老師がゲーム中であった


令子に勝った小竜姫は本当に機嫌が良く、老師のゲーム禁止もなし崩し的に無くなっている


「小竜姫は横島さんが居ればご機嫌なのねー」

ヒャクメはパクパクと饅頭を食べつつ雑誌を読む


「平和っていいですね~」

ジークは魔族らしからぬ発言で和んでいる



「いい匂いだな~ 柔らかいな~」

横島は小竜姫の膝枕にスリスリしながら幸せを満喫していた

たまに飛びかかりたい衝動に駆られるが…

飛びかかったら、せっかくの幸せな時間が終わってしまう


横島もしっかり学習していた



そして、美神事務所に帰ったおキヌは…


ドスッ!

ゴリゴリ…

バコ!バコ!バコ!

おキヌが台所で料理をしていた


台所から聞こえる音は間違っても料理の音では無い

匂いもこの世の匂いではいい表しようが無い匂いである


「次は、トカゲの丸焼きエクトプラズムソース添えですね~」

おキヌは漆黒の笑みを浮かべて料理をしていく


その手元には古い魔導書があった

『世界の暗黒料理』


その時人工幽霊は、おキヌの放つ漆黒のオーラに当てられ、またもや気絶している



それからしばらくして時刻は夕方


令子は疲れた表情をしながら事務所に帰って来た


「ただいま…」

溜め息混じりに事務所に入ると…


そこは見知らぬ世界に見えた


「何!? この真っ黒い霊気は!?」

屋敷に立ち込める漆黒のオーラに、令子は一瞬で表情が変わる

神通棍に霊力を込めて、原因を調べるべく屋敷を進む


「悪霊か妖怪か、はたまた魔族か… 誰かは知らないけど、この美神令子の事務所にケンカを売るなんていい度胸ね」

令子は霊力を高めて、慎重に進んでいく


「み・か・み・さん♪」

突然令子は背後から声をかけられた

その瞬間、令子は全身に何故か死以上の恐怖を感じる


しかも、令子はすでに戦闘体制なのだ

その令子に何の気配も感じさせず背後に現れるとは…


令子はあまりの恐怖に、とっさに神通棍で背後に攻撃する!!


バチバチバチ!!

神通棍は何かとぶつかり、火花が散る



「みかみさん、ヒドいです。 わたしです。 おキヌですよ」

令子が神通棍の向こうに見たのは満面の笑みのおキヌであった


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