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梅雨の終わり

さて西条の講習だが、内容の密度はともかく講習の進め方自体は上手いものだった

さすがにエリートを自称するだけあって、この手の仕事は得意なようである


生徒である新人GSの側も、雪之丞とタイガー以外は好意的に聞いている

核ジャック事件や大霊障でも中核を担って解決に貢献したとされる西条なだけに、新人達は興味津々だった

まあオカルトGメンに入りたい訳ではないだろうが、一般人には理解が難しいアシュタロスの強さを幾分理解出来る新人にとっては、西条は霊能者としては憧れの部類に入るのかもしれない


「さて君達がGSとして仕事をすれば、オカルト犯罪を犯す人間に出会う可能性が高い。 そういった場合には、極力警察かオカルトGメンに報告するなど積極的に協力して欲しい」

講習も終盤に差し掛かった頃、西条の話はオカルト犯罪に関わる部分に入っていた

基本的にGSには捜査権はないが、仕事上で知り得たオカルト犯罪に関わる情報や証拠は積極的に警察に届ける事になっている

これはオカルトGメンが日本に設立される前からあった事であり、元々GS協会と警察は良好な関係だったのだ

警察は霊障などはGS協会に依頼するし、GS協会側もオカルト絡みの犯罪に関しては積極的に警察に協力していた

無論警察にもオカルト犯罪対策課はあるが警察内部に霊能者はほとんど居なく、オカルト犯罪に関してはGSと警察が連携して解決して来た経歴がある


まあこの関係もオカルトGメンが出来て以来、微妙に変化しているが……

その理由は複雑だが基本的にはオカルトGメンと警察の主導権争いに加え、警察が霊障の解決をGS協会ではなくオカルトGメンに依頼するようになったためである

それにより警察絡みの霊障の仕事をしていたGSは、かなりの減収になっているのだ

まあ警察からの霊障解決の依頼は膨大な為に、結局オカルトGメンからGS協会に協力要請という形で依頼が行くのだが依頼料がかなり減額されていた

まあその分の税金がオカルトGメンの運営費に回っている為、日本政府としては特別除霊に関わる税金が減った訳ではない


それどころか政府としてはオカルトGメンが出来て以来、心霊対策にかかる税金は減るどころか増えている

そのためオカルトGメンには以前のGS協会以上に働いて貰おうとするが、基本的にオカルトGメンはコストパフォーマンスが悪いのだ

一方GS側も減収になってるにも関わらず、以前と同じような仕事をさせられるのも面白くないため

まあ表向きはオカルトGメンに協力する姿勢をとっている為拒否はしないが、以前に比べれば警察絡みの霊障に関わるGSは減っていた

結果、現状では警察とオカルトGメンとGS協会は微妙な関係になっているのだ


しかし共通する認識もある

警察もオカルトGメンもGS協会も、オカルト犯罪の増加は阻止しなければならないという考えは一致していた

今回オカルトGメンの西条が講師に選ばれたのはその辺りも理由にあり、最低限の協力は必要だという判断である


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