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真の歴史へ・その二

一方小竜姫が石像達を破壊している頃、美智恵達は屋敷の門に来ていた


「我々も正面から行くのですか?」

「ええ、小竜姫様達の後なら罠や敵も少ないでしょ。 戦いは可能な限り小竜姫様達に任せればいいわ」

西条の問い掛けに、当然といいたげな笑みを浮かべる美智恵

彼女の目的は敵戦力の情報を集めることと、自分達が元始風水盤を阻止したと言う結果だけである

未来で情報にあったゾンビくらいは仕方ないが、敵主力と正面からぶつかるつもりは無いようだ


そんな美智恵達は周囲を警戒しながら屋敷に入っていく


「油断は禁物よ。 敵が小竜姫様に戦力を集中してるとはいえ、私達に何もしないはずがないわ」

「わかってるわよ」

解りきったことを言われた令子はぶっきらぼうに答える

美智恵に比べれば未熟だと自覚はあるが、プロとしてのプライドもあった

あまりに初歩的な注意にはムッとしたようだ



「メドーサ様、正面から人間達が来ましたが、いかがしましょう?」

同じ頃、風水盤の元に居たメドーサにも黒岩から連絡が入る


「人間? 小竜姫の別働隊かい?」
 
メドーサは予想に無かった人間の介入に、小竜姫の作戦かと考えていた

GS試験の時に裏をかかれたこともあり、かなり警戒しているようだ


「いえ、日本のオカルトGメンで、先日風水師拉致の時に襲撃してきた連中です。 うち二人は美神美智恵と美神令子です」

「美神…? ああ、時間移動能力者か」

黒岩の報告の美神の名前に少し考え込んだメドーサは、時間移動能力者の名前だと思い出すが興味は無いようである


「いかがなさいますか?」

「任せる。 小竜姫達への作戦に影響でないように適当にあしらいな」

指示を求める黒岩に、メドーサは簡単に任せてしまう

小竜姫との関係が薄い以上、人間には興味が無いようだ



一方屋敷内を慎重に進む美智恵達は、地下に通じる階段を見つけていた


「行くわよ!」

神通棍に霊力を込めた美智恵は、不意打ちに警戒しながら進む

そして薄暗い階段を一歩一歩降りるたびに霊感が騒ぐのを感じていた


「なんかヤバそうね…」

同じく令子も嫌な予感をヒシヒシと感じながら慎重に進んでいる

そんな三人の前に現れたのは、先ほど小竜姫が破壊した物と同じ石像であった


特に動く訳でも無く両端に並んでいる姿は異様としか言いようが無い


(これは…)

美智恵は未来で読んだ報告書に無い石像に驚き、歩みを止めていた


「先生…?」

西条が不思議そうに尋ねるが美智恵は答えずに、ただ石像を見ている


ガシャ…

静かな空間に、突如石がぶつかるような音がした


「まさか…、こいつら動くの!?」

突然動き出した石像に、令子と西条は驚き戦闘体制に入る


「どうやら私達の行動も見られてるようね」

覚悟を決めた美智恵は、破魔札を一枚取り出して石像に投げた


ドガッ!!


石像の一体は破魔札の直撃を受けるが、ダメージは無い


「ちっ! 対霊処理をした霊能者対策のゴーレムだわ」

美智恵は苦虫を噛み潰したような表情で後ろに下がる

未来での報告書で読んだ対霊処理をしたケルベロスと同じ物だという彼女の読みは当たっていた

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