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梅雨の終わり

数日後、雪之丞とタイガーはGS協会のビルに来ていた

この日見習いGSの講習があるためである


「今日はなんですいノー」

講習内容に着いていけるかタイガーは若干不安そうだが、隣の雪之丞はあまり興味がないようだ

以前にも説明したが、この講習は具体的な除霊技術に関する内容は全くない

GS試験後すでに数回の講習が行われているが、今までにあった講習はOBによる除霊の失敗例を教えることや弁護士によるオカルト関連の法律などで、時間が短いこともあり正直あまり身になる話は無かったのである


「どうせたいした事やらねえよ。 だいたい2時間で何が出来るんだ?」

あえて波風を立てる真似はしない雪之丞だが、講習自体はウザく感じてるようだった

まあ実戦経験で言えば並のGSよりも密度の高い実戦を経験しているし、モグリのGSも経験するなど業界の底辺や闇の一部も理解している

正直、雪之丞には新人を対象にした講習は必要無かった



そんな雪之丞だが、今日の講師が入って来たところで表情が僅かに不快そうに変わる


「本日、君達の講師を務める西条輝彦だ。 私の講義はオカルトGメンの任務と役割、それと警察との関わり方などになる。 君達がGSとして活躍するには必要不可欠な事だから、しっかり聞くように」

雪之丞達の前で語り出した本日の講師は西条だった

表情が僅かに変わった雪之丞や驚いているタイガーと対照的に、西条は全く表情を変えずに話を始めている

まあ西条の場合は来る前から新人講習なのだから二人が居るのは知っていたのだろうし、基本的に二人とは目も合わせないまま淡々と話していた

そんな西条の講習はGSとオカルトGメンの違いから始まり、オカルトGメンとの連携などに入っていく

まあ連携と言っても、GS側からオカルトGメンに出動を求める場合の説明である

基本的に民間の除霊依頼には関わらないオカルトGメンだが、公共性の高い依頼や危険で至急解決しなくてはならない依頼は場合により引き受ける事もある

まあ簡単な事例などを交えつつ、連絡方法や手続きなどを説明していく


ちなみに西条はこの日言ってはいけない内容がある

それはオカルトGメンの勧誘を目的とする話や、オカルトGメン側からの協力に関する説明も禁止されていた


オカルトGメンとGSは表向き友好的で協力関係を維持しているが、GSの中には商売敵に対するアレルギーも多い

特にアシュタロス戦の強引過ぎる手法を知るGS協会幹部は、神経質なまでに新人GSとオカルトGメンの距離を気にしていた

何も知らない新人を上手く口説いて、オカルトGメンに引き抜きなどされてはたまらないのだ

ただでさえ賛否両論がある新人講習でオカルトGメンに引き抜きなどされては、GS達の反発で今後新人講習など出来なくなってしまう

一応GS協会改革の目玉とも言える新人講習なだけに、協会幹部はかなり気を使っていた

それの証拠に講習を受けてる新人の最後尾には協会関係者がおり、西条の講習内容をチェックしているのだ


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