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真の歴史へ・その二

小竜姫から発せられる竜気に反応したのか、突然石像達の動きが素早くなる。

ガシャガシャと音を立てながら小竜姫を囲むように包囲して行く


「援護は?」

「いらないよ。 というか魔装術も通用しないだろうな。 霊的攻撃を弾く装甲のようだからな」

援護するか迷った雪之丞だが、横島達も含めて援護はしないようだ

まあ理由としては、物理的攻撃と言う点では小竜姫の神剣が一番強力なのだから



「一応、戦いのセオリーは理解してるようですね」

石像達の動きを静かに見ていた小竜姫は、その動きから最低限の戦いの動きをしていることを確認していた

そんな静かな小竜姫を囲んだ石像達は、一斉に攻撃を開始する


ガギッ!!


石像の攻撃が当たる前に小竜姫の竜気の篭った神剣が一振りされると、2体の石像が切り裂かれた

そして切り裂かれた石像の残骸が後ろの石像に飛んで行き、わずか一振りで5体の石像を半壊状態にしている


「なんだ、弱いじゃんか…」

あっさり破壊された石像に雪之丞は少し驚いたようにつぶやく


「表面が普通の岩よりもろいのよ。 霊的攻撃を弾くことに主体をおいてるから、物理的攻撃に弱いんだわ」

少し拍子抜けした感じの雪之丞にルシオラは説明していくが、あれが小竜姫以外ならあそこまで簡単に行かないのを理解していた

銃器でも表面は簡単に傷付くが、石像が動かなくなるまで破壊するのは銃器では大変なのだ

ロケットランチャーや対戦車ライフルなど使える野外なら問題無いが、こんな地下空洞の中では難しい

ある意味この場所の防衛としては侮れないことをよく理解していた



一方小竜姫は、石像をただの木偶であるかのように次々に破壊していく

表面をパワーで破壊して、内部は竜気の篭った斬撃で簡単に破壊出来る

霊的にも物理的にも強力な一撃を持つ小竜姫の前では、石像の集団も無意味だった


「やはり私達が来るのは、かなり前から読まれてたようですね…」

石像を全て破壊した小竜姫はその勝利に喜ぶ事も無く、険しい表情で考え込む

これだけの石像が小手調べと言うことは、明らかに人間ではなく小竜姫が来るのを想定した事前策があると確信していた

そしてメドーサが考えたにしては計画が緻密過ぎるのも気になっている



その頃、小竜姫が戦う様子をメドーサは水晶球でしっかり見ていた


「やはり小竜姫には無駄だったか… まあ、あいつがよこした物だから期待してなかったけど」

静かに起動している元始風水盤の前で、ゆっくりと見物しているメドーサ

どうやら横島達が風水盤に到着するまで見ているつもりらしい


「あの女は神族か… 後の二人も人間じゃないね」

乗り込んで来た横島達を一人一人見て行くメドーサは、ヒャクメが神族なのは即座に見抜いていた

そして以前戦った横島や雪之丞以外のルシオラとタマモに興味を示し、二人が人間で無いことに気が付いている


「やはり神界の差し金か…」

メドーサは、黒岩達では小竜姫を含めた横島達には勝てないと考えていた

しかし、ルシオラやタマモの実力を計るにはちょうどいいと思っている


そんな一人高見の見物を決め込むメドーサは、静かに小竜姫が来るのを待っていた
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