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梅雨の終わり

その後、横島達は朝食を食べて帰っていく

横島達は店の営業があるし、ピートやタイガーも仕事があるのだ

マメに妙神山に来てるだけあって、さすがに一回の滞在時間は減っていたようである


「じゃ、また来週な!」

パピリオや老師から次回の欲しい物のリクエストを聞いた横島は、いつもの軽い調子で帰った

横島達を笑顔で見送っていたパピリオだが、転移して消えた瞬間少し寂しそうな表情になる

以前のように言葉に出して寂しさ言わないが、やはり一時的とはいえ別れの寂しさは変わらないようだ


(パピリオ…… 別れの寂しさはみんな同じなのですよ)

少しずつ大人になるパピリオを、小竜姫は静かに見つめている

また会えると分かっていても別れは寂しいものなのだ

小竜姫は自分の心にも僅かに寂しさがある事を理解しつつ、パピリオを優しく見守っていた



同じ日の朝、六道女学院の理事長室では数名の教師が夏の臨海学校について話し合いをしていた

毎年恒例の行事なのだが、昨年はアシュタロス戦の後という事で中止になっている

アシュタロス戦後に少しの間大人しかった悪霊も昨年のこの時期にはすでに元に戻っていたのだが、万が一を考えて除霊がない臨海学校にしていたのだ

その臨海学校を今年はどうするか、冥菜を中心に以前から検討されていたのである


「生徒達の反応はどうなの~?」

「生徒達の反応は概ね二極化してます。 やる気のある生徒はぜひ除霊を経験したいと言いますが、大霊障の経験からGSを諦めた者達は除霊を望んでません」

冥菜の問い掛けに初老の教頭は言いにくそうに答えた

今年入学した生徒は違うのだが、3年と2年にはGSを諦めた者の比率が例年より多いのである

大霊障当時1年だった現在の3年と中学3年だった現在の2年は、大霊障を境にGSを諦める者が続出していたのだ

今年入学した者は大霊障を経験してなおGSを目指す者な為違うのだが、当時すでに高校生だった現在の3年と当時受験生だった現在の2年は急に進路を変える事が出来ずに、仕方なく霊能科に通っている者も多い


「各教師が精神的ケアーをしましたが、やはり諦める者が多いですね」

犠牲者や被害者以外にも多大な影響を及ぼしたアシュタロス戦

その後遺症は横島に限らず、GSを目指していた者達にも大きく影響していたのだ


無論無事だった一般人にも精神的影響が出た者は続出したが、元々霊能力がなく悪霊や幽霊と関わらない一般人の精神的影響は大霊障の規模に比べれば軽かったという

それに比べて影響が多かったのが、GSを目指してる者だった

なまじ霊能力があり幽霊や悪霊が見え強さを感じるがゆえに、一般人よりも精神的影響が大きかったのだ

六道女学院でも精神的ケアには特に力を入れたが、一度折れた心が戻った者は少ない

まあ元々卒業後にGSになれるのはごく一部なのでそれが早まっただけとも言えるのだが、学校としては早期の無気力化は問題であった


「困ったわね~ それであちらの様子はどうなの~?」

「先方の海岸は例年通りの様子です。 地形から集まる陰気や悪霊は特に変わりません」

様々な状況を判断してそろそろ決断しなければいけない時期なのだが……

冥菜は迷っているようである


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