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二年目の春・9

「まきえちゃん! がんばれー!」

野点で朝の優雅な一時を過ごした一行は、新体操部のエキシビジョンの見物に来ていた。

まき絵は得意のリボンの演技を披露するらしく、大勢の観客の前で演技を始める。

まるで猫のようにクルクルと回るリボンがタマモには魔法のように見えるのか、瞳を輝かせて見ていた。


「間に合ったわね。」

「姉ちゃん頑張れ!」

そんな横島達の隣に演技が始まったと同時にやって来た、三十代の女性と小学生くらいの男の子の二人にタマモは少し驚く。

「まきえちゃんのおかあさん?」

クンクンと匂いを嗅ぐタマモは、隣の親子にまき絵と近い匂いを感じるらしく驚きつつ声をかけた。


「あら、クラスメートの……」

「お久しぶりです。」

「こんにちはー!」

隣にやって来たのはまき絵の母親と弟だった。

横島とタマモは初対面だが、他の少女達は面識があるらしく双方ともに予期せぬタイミングで会った事に驚きつつ挨拶を交わす。


「貴女は……、タマモちゃんね?」

「うん! そうだよ!? なんでわかったの!?」

しかし驚いたのはまき絵の母親が、タマモの事を知っていた事だった。

タマモ自身まだ名乗ってないのにとビックリすると、まき絵の母親はクスクスと笑ってしまう。


「娘から聞いてるわ。 一緒に撮った写真も見たことあるねよ。」

「はじめまして! よこしまたまもです!」

そのまままき絵の演技を一緒に応援しながら会話を続けるまき絵の母親と少女達だが、タマモは演技が終わると拍手をしてまき絵の母親と弟に改めて挨拶をする。

初対面の人には挨拶をするのは、少女達に教わった約束ごとなので欠かさないのだ。


「まき絵の母よ。 よろしくね。 ほら影久。」

「佐々木影久です。」

タマモに促されるように横島や少女達も挨拶をするとまき絵の母親も挨拶をするが、弟は年頃の少女達ばかりに少し恥ずかしいのか少しぶっきらぼうな態度で挨拶をする。


「まき絵の弟、可愛いじゃん。」

「結構イケメンになりそう!」

少しヤンチャ盛りという少年であり、美砂達が囲んで頭を撫でたりしてるとどうしていいか分からず戸惑っていた。

横島はそんなまき絵の弟と美砂達の姿に、少し昔を思い出すのか懐かしそうに見ていたが。

小学校時代は友人の銀一が、よく歳上の女の人にモテていたのだ。

大人になってみると中学生はまだ大人とは言い切れないが、小学生から見ると歳上の大人に見える。

思春期の少年には少し刺激が強いかなと苦笑いが出てしまうが、流石に桜子も初対面の影久に抱き付いたりはしてないのでホッとしていた。


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