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二年目の春・9

会場には割れんばかりの拍手と歓声が響いていた。

美砂達とタマモの自由な音楽は観客の心を掴んだらしい。

特にタマモは演奏が終わった後も、歓声に答える形で手を振り笑顔を見せていた姿が印象的であった。


「たのしかった!」

「本当!? じゃあ、またやろうね!」

「うん!」

準備と練習に随分時間をかけたが、無事にやり終えた充実感にタマモも美砂達も満足げである。

横島に関しては意外な事に、妙なトラブルに遭遇することもなく普通に一緒に楽しんで終わっていた。


「タマちゃん、格好良かったえ!」

「本当凄いね! 」

その後は木乃香達と合流して他の出場者のライブを聞きつつ余韻に浸り、仮設店舗で3ーAのクラスと超包子の助っ人のみんなと行う中夜祭のパーティーに参加する事になる。

仮設店舗の方は夜間も外部の立体映像とライトアップは続けているので、閉店後も見物人達で賑わっていたが。

料理は店のメニューの余り物から超包子の料理に、それぞれが差し入れにと持参した物など様々だ。


「カンパーイ!」

例によってお酒も入ってないのに少女達はテンションが高く、タマモもまたそんな少女達に負けぬほど元気だった。


「ほら、マスターも飲んで飲んで。」

「何か面白いことやってー!」

横島は慣れないバンドが上手くいきホッと一息つく暇もない事に、若さの凄まじさを実感していたが。

ちなみにこの日は超包子の女子大生なども揃っていたが、横島は少女達に絡まれていてそれどころではない。

美砂・桜子・まき絵などはいつもの事だが、あからさまにボディタッチが多く付け入る隙を与えることはなかった。


「こらっ! パンツ見えてるだろうが! 隠しなさい!」

「えー! いいよ。 このくらい。」

「外から覗いてる奴らも居るんだからさ!」

ただ悲しいかな周りが少女達ばかりだと、横島もそんなに弾ける訳にはいかずにブレーキ役にならざるを得ない。

仮設店舗は閉店しているが、入り口のドアはガラスであり中でパーティーをしていると立体映像を見物に来た人達が覗いていくのだ。

割と平気でパンチラする一部の少女達に注意したり、女子大生や横島のお酒を飲もうとする者を止めたりと忙しくなる。


「じゃあ、マスターの初恋の話。 聞かせて!」

「そんな昔のこと忘れたわ!」

「えー! ノリが悪いなぁ。 じゃあ初体験の話で!」

「言えるかー!!」

中夜祭という独特の雰囲気といつもと違う場所でのパーティーは少女達をいつもと違うテンションにまで押し上げていく。

もう何でもアリだよねと、特に横島の正体を知らない裕奈や美空なんかが、あれこれと過激な質問を始めると少女達は盛り上がるが横島はたまったもんじゃない。

中学生相手ではセクハラまがいの発言すらしないように気を付けてるだけに、どうしてこうなるんだと頭を抱えるしか出来なかった。

なお高畑がちょっと参加した後に夜回りに行くからと席を外した事も、少女達を暴走させてる要因だが。

何はともあれ二日目の夜はまだまだ続く。

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