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その三

本音を言えば横島はネギをただの子供にしたいと考えている

天才で勉強や魔法が大人と同等に出来るからといって、教師件見習い魔法使いとして社会生活に出すには余りに酷だと思うのだ


(だが、恐らくネギを子供に戻すのは無理だろうな)

麻帆良においてネギは特別な存在だった

英雄の息子であり未来の英雄候補、魔法使い達は皆ネギを特別視して過大な期待を持っている

仮に横島が学園長に掛け合いネギを普通の学校に入れても、他の魔法関係者が放っておかないだろう


(それに六年前の件と今回の関係性が不明な点も問題だしな)

加えて横島が問題視していたのは、昨日の件に関連して知った事実である

実は昨日の深夜の土偶羅からの報告には、今回のヘルマンの襲撃だけではなく六年前のネギの村を襲った事件に関してもあった

昨日のヘルマンとネギの最後の会話の裏を土偶羅が調べていたのである


(狙いや犯人は一切不明で、生存者がネギと従姉妹の姉だけで他は全員永久石化とはな……)

六年前の報告は横島にとっても驚きを隠せないものだった

ネギの過去に深い闇があるのは弟子入り試験時に知ったが、まさか生まれ育った村を滅ぼされたとは予想も出来なかったのだ

しかも原因や犯人が一切不明であり、ネギの証言により亡くなったとされている父ナギ・スプリングフィールドが助けに来たと言うのだから驚きである

ナギが助けに来た件に関しては真偽の確認が取れず、幼いネギの妄想ではとの意見もあるらしい

その後魔法界を中心に事件の捜査が行われたが、結局迷宮入りしたとのことだ

この件に関しては、魔法使い達の情報を土偶羅が密かにハッキングして調べていたらしい


(これ以上、首を突っ込むのは危険だな)

土偶羅からはこれ以上調べるなら、魔法界本国への精密調査が必要だと言われている

同時に六年前の襲撃に関わるだろうネギの父親と何故か名前すら分からない母親の調査も必要と言われたが、横島は現状でこれ以上調べることを止めていた

霊能者のカンと言うのか分からないが、これ以上関わってはいけないと感じていたのだ

正直横島は魔法使い達の揉め事に関わるつもりはないし、仮に何かあるからといって無条件で助けてやるつもりもない

現状の横島といえども、誰かを滅ぼす事は出来ても救う事は簡単ではないのだ



(才能なんて無ければ幸せに暮らせただろうに……)

現状での横島の判断はネギを子供に戻すのは不可能であり、少なくともネギを守るスタンスの麻帆良に置いて時間を引き延ばすしかないというのが結論である

ネギが大人になり自ら将来を考えれるようになるまでは、精神面の成長を促すしか方法がなかった



そんな横島が僅かに考え込んでる間に木乃香達や千鶴達は、小太郎の歓迎会を開くと言い出してたくさんの料理やお菓子でパーティーを始めようとしていた

少し前にさよの誕生日のお祝いだと称してパーティーを開いたばかりなのだが、相変わらず騒ぐのが好きなようである



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