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二年目の春・9

「あれがアーティファクトなのですか。」

「ええ。ただし貴女達がやっても同じものが出るとは限らないわね。」

そのまま平行世界の自分が持っていたアーティファクトが欲しいと騒ぐハルナの発言から、少女達は摩訶不思議な魔法の契約によるアーティファクトなのだと聞かされた。

そう言えば仮契約をすると便利アイテムが貰えると以前騒いだのを思い出した少女達もいる。


「でもハリセンはともかく、あんな大きな剣なんてよく人前で使ってたわね。 あの世界の私。 コスプレ扱いされなきゃ捕まっちゃうじゃないの。 第一当たったら怪我じゃ済まないじゃないの。」

「魔法関係だと命を奪うような戦いは今もあるのよ。 丸っきり初めてには見えなかったし、何かしらの事件にでも関わったんじゃないかしら?」

一方明日菜は自分が剣を持って、超鈴音と戦おうとしていた事に驚きと戸惑いを感じていた。

あやかと喧嘩をすることはあったが、武器を持ちクラスメートと戦う自分が居ることがにわかには信じられないらしい。

刀子は夢の中の明日菜の状況から、少しは魔法関係の戦いの経験があるのではと予測していたが。


「っていうか、あの巨大ロボットと脱げビームはなんなの? 私達脱がされてたんだけど!?」

「ああ、あれか。 魔法世界の連中が持ち込んで麻帆良の地下に封印してる鬼神兵だろうな。 脱げビームは武装解除の魔法だ。」

「あれが悪名高い武装解除の魔法ですか。」

そして美砂は平行世界の自分が脱がされていた事から、武装解除の魔法と平行世界の最終日の超鈴音の計画の話に移っていく。

ちなみに武装解除の魔法は、魔法関係者の女性の間では特に評判が悪い。

武装解除と一緒に服を脱がされるので当然女性達は警戒しているし、いたずら目的で使えば厳重に注意されて悪質ならば記憶の消去すら行われる。

セクハラ問題が煩くなった近年では、一番使いにくい魔法と言っても過言ではないだろう。

少女達は露骨に嫌そうな顔を隠せなく、まさか平行世界の自分達がよく脱がされていたなど思いもしないようだ。


「ロボットを使ってたテロですね。」

「お爺ちゃん駄目やわ。 事前に止めなアカン。」

超鈴音の計画については客観的に見るとテロでしかなく、擁護の声は全くない。

木乃香などは後手に回り何も出来なかった平行世界の祖父にダメ出ししていたが。


「この世界でも超さんはほぼ同じことをしようとしてたからな。 修学旅行の時に止めたんだよ。 鬼神兵はそのままだけど、他のロボットは全部回収して今はここの倉庫にある。」

「確かにそれは一大事ですわね。」

皮肉なことだが夢で平行世界の事を知ったことにより、少女達は修学旅行の際の事件の裏側の一端を知ることとなった。

超鈴音には超鈴音なりの理由があるとは思うが、あまりに乱暴で一方的な行動に改めてショックを受ける者もいる。

平行世界の自分達は知らぬままに生まれ育った世界とは別の世界に迷い込み、クラスメートはテロ行為をする。

この事実は流石に少しハードだったらしい。


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