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二年目の春・9

その後タマモは甘えん坊のように少女達に引っ付いていた。

無意識に不安を感じているのだろう。

「あの、夢の中の私達は歴史を変えてましたわよね? あれは変わる前の歴史はどうなったのでしょう。」

「ん? 変わる前の歴史か。 そのまま続いていくな。」

「それって……」

一方刀子にあやかや千鶴、それと夕映やのどかなんかは夢で見た平行世界の話をしていた。

ふとあやかは変わる前の世界が気になり横島に尋ねると、ある意味想像できる中でも最悪と言っていい答えに絶句する。

「だから時間移動なんて、やるもんじゃないんだよ。 それが歴史の一部にあるなら時間移動してもいいが、無いなら……」

「別の未来に迷い混んでしまうと?」

「まあな。」

夢の中の世界で未来を変えた少女達は、自身の本当の家族と永遠の別れをする結果になっている。

まあそこに気付いた者は居ないのが不幸中の幸いだったが。


「質問! アナスタシアさんの別荘に閉じ込められた、新しい未来の明日菜達はどうなったの?」

「あっ!?」

「確かに!!」

少し重い空気になる中、日頃はこの手の話には加わらない桜子がちょっとした疑問を口にすると、少女達の表情が驚きに変わる。


「俺も詳しく見てないから知らんが、過去に送るしかないだろうなぁ。」

「それって、永遠にループしない?」

「するな。」

「横島さんが時間移動だけは、使いたがらない訳ですね。」

平行世界で別の未来を切り開いたと言えば聞こえはいいが、超鈴音の罠に嵌まり麻帆良祭の数日後に帰ってくるあの世界の少女達が別に居るのだ。

同じ世界に二人の自分は要らない。

過去に送るしかないだろうと語る横島に、少女達は魔法の怖さを心底感じていた。


「ところでさ。 なんで私達はとかいいんちょ達は、時間移動してなかったのかしら?」

「うん。 それも気になった。」

「ああ、それは魔法を知らなかったからだろう。 あの世界ではガキんちょがいろいろやらかして魔法を知ったメンバーが、時間移動したメンバーなんだわ。」

「あっ、そっか。 マスターとタマちゃんが居ないから、メンバーが違うんだ。」

一方美砂と円は、タマモと同様に自分達が時間移動などに加わってなかった事を地味に気にしていた。

明日菜達だけズルいと最初は思いつつも、平行世界に行ってしまったと聞くと複雑な心境になりつつ気になるらしい。


「古菲と長瀬さんは意外でしたね。」

「明日菜、格好よかったね。 桜咲さん羽根生えてたし。」

「エヴァちゃんがちょっと昔みたいだった。 なんていうか近寄りがたい雰囲気?」

「あの絵が実体化するアイテムは何処にあるのー!?」

ただ全体として悲観までは誰もしてない。

リアリティがないというか自分達とは違うなと実感出来るからだろう。

ただハルナは平行世界の自分が持っていたアーティファクトが欲しいと騒いでいたが。

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