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その三

「ただいま~」

微妙な空気が流れる中で部活を終えたまき絵や古菲やネギ達が帰宅して来ると、小太郎とネギは互いに嬉しそうに言葉を交わす

昨夜の戦いについて熱く語り出す二人に、微妙だった空気が一気に穏やかに変わっていく


「とりあえず、ゆっくり考えるといい。 結論は急がんからな」

ネギの子供らしい姿に横島のみならずその場の者達が和んだのは確かだろう

魔法を忘れるか忘れないか選ぶ事になった三人だが、昨夜のような事は滅多に起きないし当分は大丈夫だと説明するとだいぶ落ち着いたようである


「また人が増えてるな。 いっそクラス全員呼んだらどうだ?」

それから夕食時になりいつものように横島宅に来たエヴァは、千鶴達や小太郎を見てため息をはく

なんがかんだ言いつつどんどん人が増えるのだから


「まあまあ、いいやん。 はい、エヴァちゃん」

呆れたように部屋の隅に座るエヴァに、木乃香は当然のようにワインとつまみを持って来る

ちなみにエヴァは木乃香達の修業を見る代わりに、横島が所持する酒類を好きなだけ飲んでいる

以前は学園長から貰うお金で買ってたらしいが、横島はビンテージクラスのワインを余るほど持ってるだけに最近はこちらで晩酌をしていたのだ

エヴァの近くではチャチャゼロとカモも酒を飲み初め、茶々丸は夕食の支度をする木乃香を手伝いにいく

いつもと同じ光景なのだが、明らかに人口密度が高かった


「別に俺が集めてる訳じゃないんだがな」

夕食を食べながらそれぞれに楽しげに会話している者達を見つめ、横島は軽くため息をはく

正直他人を抱え込むのはあまり気が進まないのは今も変わらない


(結局、彼女達を受け入れた時にはこうなる定めだったのかもな)

木乃香と夕映に視線を向けた横島は、二人を受け入れてしまった時にこうなる運命だったのだろうと思う

人の縁は繋がりゆくものなのだし、二人を受け入れた瞬間に横島自身もこの世界の一部になってしまったのだと悟る


「キュ~ン」

横島が僅かに考え込んでいると、食事を終えたタマモが何かを望むように見上げている

望みを察した横島が少し汚れた口元を拭いてやると、タマモは満足した様子でソファーに座りテレビに視線を向けていた

前世から人の中を生きて来た金毛白面九尾なだけに、綺麗好きだしマナーなどもきちんと守るタマモだった



一方小太郎とネギの二人だが予想通り話が合うようで、横島や明日菜達と居るより子供らしくて楽しそうに見える

明日菜やあやか達はそんなネギと小太郎に嬉しそうだし、ホッとしてるようだった


(やっぱ子供は子供らしくあるべきなのかもな)

横島自身、ネギの子供らしい姿を随分久しぶりに見た気がしている

まあネギを子供扱いせずに厳しい試練を与えたのは横島自身なのだが、それがあまり上手くいってない事は確かだった

ネギの戦闘能力は相変わらず驚異的に伸びているが、半面で精神面は並の子供より少し上くらいなのである

戦う才能に合わせて精神面も成熟すればいいのだが、精神面の成長が戦闘能力についてゆけてない

結果的に横島はネギの戦闘修行を抑制してる段階であり、課題はやはり精神面だった


(厄介な奴に関わっちまった事は確かだな)

英雄を父親に持ち魔族に狙われるネギに、横島は対応の難しさに苦慮する


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