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真の歴史へ・その二

「何バカなこと言ってるの! 私達は任務で来てるのよ。 宛に出来るか出来ないかわからない相手に、任せることは出来ません。 小竜姫様が必ず人間を守ってくれるとは限らないのよ!」

力の篭った言葉で言い切る美智恵だが、令子と西条は釈然としない様子であった

そもそも二人は小竜姫を良く知らないのだが、美智恵の言い方では小竜姫が人間に冷たいように聞こえる

しかし横島やおキヌと暮らし、おキヌ復活の件でも尽力を尽くして助けた小竜姫が、それほど話のわからない神族には見えない

確かに神族の中には人間を見下したり、暴君のような神族もいることは知ってはいるが、小竜姫がそんな存在でないのは見ればわかるのだし…


「ママ、小竜姫様となんかあったの?」

それは西条でなくとも、感じた疑問である

何故わざわざ小竜姫の機嫌を損ねるような行動をしたがるのか、理解出来ない


「令子、良く聞きなさい。 わかってるでしょうけど、神族は世界の秩序は守っても人間個人は守らないのが普通なの。  小竜姫様も任務になれば同じ可能性が高いわ。 神界の意向に逆らってまで見ず知らずの人間を守らと思うの? それに人間界は人間の手で守らなければダメなのよ。 安易な甘えは捨てなさい」

厳しい表情で言い聞かせる美智恵の言葉だが、令子はイマイチ理解に苦しむ

やはり令子に他人を守るなどと言う価値観は無い

まあ、見合う報酬があれば守るだろうが、正義感や世界を守る必要性を言われても理解出来る訳が無いのだ


(先生はいったい何を考えてるんだ…?)

一方、まるで神界が信用出来ないような美智恵の発言は間違ってはないが、霊能者としては異質である

基本的に人間界の問題には不干渉な神界だが、しかし人間の味方で無いとは言い過ぎだと西条は思う


そんな互いに意見が食い違う美智恵と、令子&西条の二人

やはりあの未来を経験してない二人には理解出来ない内容であり、それが当然の反応とも言える


普通は神族が事件に乗り出すなら任せるのが当然であり、妙な横槍を入れるのはありえない

西条は美智恵の言葉に隠された意図を考えるが、無論情報が少な過ぎてわかるはずもなかった


結局、令子と西条は仕事だと割り切って行くしかなかったのである

しかし内心では、小竜姫が多分なんとかしてくれると言う甘えが残ったままであった

美智恵はそんな二人を見て、この先の未来に不安を感じずにはいられなかった


横島が居ない以上、令子を守るには自分が動くしかない

しかし自分の存在により甘える相手を得た令子は、精神的強さが未来に比べてないのも事実であった


(ダメね。 今は目の前の戦いに集中しないと…)

不安や焦りから少し言い過ぎたと後悔する美智恵だが、結局目の前に迫った戦いに集中しようと思考を切り替える


戦いの前から微妙な空気のまま、美智恵達は元始風水盤事件に介入するために戦場へと向かって行く



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