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麻帆良祭への道

室内はまるでコスプレ会場のようになっていた

木乃香と夕映のような魔法少女のような姿の者も多いが、なかなか際どいコスプレを着た者もまた多い

流石にフロアで着替える者は居ないが、厨房と食材などが置かれた倉庫が臨時の更衣室になってるようだ


「横島さんも何着か選んで欲しいんやって。 今日中に決めて寸法を直すみたいなんよ」

全部でおよそ二百着はあるだろう様々なコスプレ服の中には男性用も数着あり、あやかが横島の為に用意したらしい

元々横島自身は自分の店と同じでいいかと考えていたのだが、少女達はその辺りもかなり凝りたいようだ


「結構あるな」

男性用の衣装だがお決まりの魔法使いセットや剣士のような革の鎧もあれば、何故かマッドサイエンティストのような白衣もあった

一番無難なスーツや学生服などもあり、かなり選択肢がある


「うーん、どうすっかな~」

種類はあるのだが横島は結構迷っていた

無難に行くべきかネタに走るべきか、いろいろ考えるとなかなか決まらないらしい


「無理に面白い方向に考えなくてもいいのでは? それに下手な衣装を選ぶと料理を作る時大変ですよ」

腕組みして悩む横島に夕映はその考えを見抜いたのか、あまりウケを狙わない方がいいと諭していく

まあ2-Aのクラスメート達も普通じゃつまらないからと言いかなり際どい衣装を選んだ者も居るが、調理担当者はみんな無理のない衣装を選んでいるのだ


「ねえねえ、どう?」

そんな感じで衣装を選んでいた横島だったが、コスプレに着替えた桜子が走って来て背後から呼んでいる


「ん……ブッ!? なんじゃそりゃ!!」

桜子が着ていたのは俗に言うビキニアーマーだった

ブルーの色を基本としたなかなか際どいビキニアーマーに、横島を思わず吹き出してしまう


「えー、似合ってないの?」

「ううん、似合ってるえ~」

「横島さんは照れてるだけです。 見た目と違い女性の免疫がない人ですから」

横島が吹き出して慌てた事で桜子は似合わないのかと若干しょんぼりするが、木乃香は素直に似合うと褒めているし夕映は横島が意外と女性慣れしてない事実をサラッと暴露してしまう


「そっか~、悪い女の人に騙されたんだもんね」

「だから違うって……」

夕映の言葉に桜子は横島が以前悪い女に騙されたからだとすんなり納得してさまうが、横島はそこだけはしっかり否定する

しかし横島が否定すればするほどその噂に信憑性が出てしまい、今では2-Aのみんなが知ってる横島の過去になりつつあった

女好きを公言して手が早い割に仲良くなると奥手になる横島の行動から、すっかり噂が真実だと受け取られているのだ

妙にお人よしな面もあり横島なら騙せそうと少女達に思われているのも地味に影響している

何はともあれ横島の過去のトラウマを癒してあげようというのが、最近の2-Aの共通認識になりつつあった


「優しくし過ぎるのも相手の為にならないですよ。 騙した人が悪いのですから」

今だに騙した女性を庇っていると誤解してる夕映は横島に対して優しくし過ぎるのもダメだとダメ出しをするが、横島は自分の言葉を信じて貰えずに苦笑いを浮かべるしか出来ない


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