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二年目の春・9

「かれーがいっぱいだ!」

メイド喫茶を出た一行は、中等部の中を軽く見物して麻帆良カレーフェスティバルの会場に来ていた。

麻帆良市内の麻帆良カレー公式提供店、全店のカレーが集まっていて、当然横島の店のカレーもある。

こちらも麻帆良祭のイベントの目玉の一つと言われていて、ハーフサイズや三分の一サイズのカレーが複数楽しめると言うことで話題だ。


「凄い混んでるな」

「学生発の料理が地域貢献をしたと最近話題なのですよ。 全国区のテレビで取り上げられたそうですから」

実は麻帆良カレーは二年目の麻帆良祭を前に、再び注目を集めて、昨日とうとう全国区のテレビのゴールデンタイムで特集を組まれて放送されていた。

学生が企業や地元の料理人と手を組み、学園祭専用メニューを提供して、一年後には地元でそれを提供する店が二十件以上あるのだ。

地方の過疎化やバブル崩壊以降の不景気に苦しむ中、雪広や那波はリストラもせず、業界再編からも外れ独自の歩みを続けていて、その雪広グループが全面バックアップしてることからも注目を集めている。

正直なところ地方が経済活性化や観光客誘致に何かをするのは、今に始まったことではない。

バブル期には全国各地に箱物が乱立したし、ブランド食材が流行ると全国にブランド食材が生まれた。


「雪広グループの方の話だと、この一年で地方ではご当地グルメを作るのが流行ってるとか。 私達の影響でです。」

「ご当地グルメって、そんなもん宝くじが当たるようなもんだぞ?」

「行動力のあるところは、麻帆良祭にも来てるそうですよ。昨年の麻帆良カレーに続けと気合いが入っているようです」

ただ、横島は自分が世の中に思った以上の影響を与えてしまった事に、少しびびっていた。

横島がやらなくてもいずれ同じことが起きたのは、横島も理解しているが、流石に世の中の流行を生み出したのは初めての経験なのだ。

麻帆良祭は関東を中心に期間中40万人の来客があるとも言われていて、その影響力は高くみられている。

まあそもそも、麻帆良祭からの商品化や流行は初めてではない。

かつては玩具やゲームなど、実は麻帆良祭で麻帆良の学生が開発した物が全国で大流行したことがある。

そういう意味では企業の側も注目していて、有力なサークルなどにはスポンサーがついて商品化の際には優先交渉権を頼む企業すらある。

しかし料理という分野では麻帆良カレーが初であり、麻帆良祭で当たると全国で売れるなどというジンクスが生まれそうな勢いだった。


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