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真の歴史へ・その二

「昔の霊能者は強かったんだな」

「物理的な力を合わせると現代の霊能者も強いわよ。 銃とか現代兵器は馬鹿に出来ないもの。 純粋な霊能力は弱いけどね」

雪之丞に説明しながら歩いていたタマモだが、突然止まってしまう


「何か用かしら? 美神美智恵さん」

タマモは突然無人の背後を振り返り、誰も居ない場所に向けて話した


「さすがね。 気配は消してたつもりだったのに…」

背後の曲がり角から姿を現したのは、タマモの言う通り美智恵である



さて、何故美智恵がこの場所に現れたかと言えば、横島達も美智恵も調べてる内容が近いのだ

横島達はおもにメドーサ達に協力する周辺人物の調査をしているし、美智恵は黒岩などの情報を集めている

従って調べる範囲が似た場所になるのは仕方ないことだった


美智恵の場合は、情報を集めるのに人を雇っているが、その情報を集めてる人に横島達の姿を見たら報告するように告げていた

そしてタマモと雪之丞が現れたと情報が入った美智恵は、接触するべく来たのである



「用件を早く言ってちょうだい。 私達も忙しいのよ」

美智恵と会話ですらする気の無いタマモは、興味なさげに言葉を投げ掛ける

タマモとしては美智恵が言うことは予想が出来ているし、返事も決まってるため考える必要も無い


「協力しない? この件に関しては目的に違いは無いはずよ」

とりつく隙の全く無いタマモに、美智恵は内心苦々しく思うが顔には表さない

しかし、タマモは美智恵の心を見透かしたような笑みを浮かべる


「この件に関しては、私達にあなたの協力は不要よ。 逆に足手まといは邪魔だわ。 あなたはともかく、他の二人は明らかに邪魔よ」

タマモは改めて美智恵を愚かだと感じていた

協力などと言う甘い言葉に釣られるはずは無いのに…


交渉事としては、相手に弱みを見せずにいい条件を引き出そうとするのは正しいだろう

しかし今回の事件は、自分達に美智恵と組む利点が無い


美智恵は協力と言う実績と、事件解決の名誉を望んでるのは前から見抜いているのだ

タマモも横島も自分達に利点が無いのに、わざわざ相手が欲しいものを与えるほどお人よしでは無い


(プライドを捨て切れないのがあなたの弱点。 変に裏を書くからダメなのよ)

タマモは内心呟く


「あなた達がいかに優秀でも個人の力よ。 人界である以上、人界の組織の力は必要になるわ」

一方、元始風水盤は世界に大きな被害をもたらす事件なだけに、人界の組織を無視は出来ないだろうと美智恵は思っている

戦う戦力としては不足でも、側面支援では必ず自分達が必要になると確信していた

美智恵自身、その為にわざわざメドーサの情報などをオカルトGメン本部や香港自治政府に流していたのだから……


「フフフ… 甘いわね。 それとも私達が嘗められてるのかしら? その程度の対策をしてないとでも思ったの?」

タマモの言葉と表情に内心ムッとする美智恵だが、その対策の中身を考える


「今回、協力することは無いわ。 雪之丞行くわよ」

少し考え込んだ美智恵に、タマモ何も告げずに去って行った



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