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その三

一方3ーAの教室ではいつも通りの授業が行われていた

そんな中で千鶴・夏美は一見いつもと変わらぬ様子だが、昨日の出来事が頭から離れないようである


「じゃあ、佐々木さん次を読んで下さい」

「えっと……」

授業を一応聞いてるまき絵だが、ぶっちゃけあまり理解出来てない

次を読めと教師に言われてもどこか分からずに、オロオロしてしまう


「キュ~ン……」

横島が学園長に呼ばれた為に木乃香達に預けられたタマモは、現在まき絵の膝の上でまるくなっていた

教師に指名されてオロオロするまき絵に仕方ないと言わんばかりに鳴いたタマモは、机の上に顔を出し長い尻尾の先で読む場所を教える


「うん? わかった!」

ここだと言わんばかりに尻尾がユラユラと揺れる場所に気付いたまき絵は笑顔になり教科書を読むが、タマモはため息をはき再びまるくなった

あまりに困った様子につい教えてしまったようである

まき絵がタマモによくあげていたお菓子の影響があったのかもしれない



「まき絵ばっかりズルイですー!」

「私達にも抱かせてほしいです!」

休み時間になりまき絵の机にはタマモ目当ての鳴滝姉妹が来るが、タマモは我関せずとばかりにまるくなるだけである


「狐は本来警戒心が強い生き物ですからね。 仕方ないです」

手を伸ばしてくる鳴滝姉妹から逃げるように動き出したタマモは今度は夕映の元に駆け寄っていく

夕映が抱き上げると素直に抱かれるのだが、やはり鳴滝姉妹には拒否反応を示す


「どうして僕達はダメなのですか!」

「あまり構われ過ぎるのは好きではないようですから、待ってるくらいがちょうどいいのです。 そのうち気を許してくれますよ」

残念そうに詰め寄る二人を夕映は困ったように宥めるが、元々タマモはあまり知らない人には近付きたがらないのだ

ネギとカモもあまり好きではないらしく、横島のアジトに出入りするメンバーでもネギとカモには近寄らないくらいである

ただタマモとしてはネギが嫌いな訳ではなく、関わればロクな目に合わない予感がするので関わらないだけだが……


「不公平ですー」

「なんで夕映やまき絵達だけー」

夕映の話しにも納得しない鳴滝姉妹は文句を言うが、そんな間に次の授業になり渋々戻っていくしかない

結局タマモはこの日、まき絵・夕映と続き木乃香達の膝の上を渡り歩いて時間をつぶしていく



「元気そうだな」

さて学園長室を後にした横島は、小太郎が保護されてる魔法使い施設を訪れていた

千鶴達が小太郎と会う事を希望していた事もあり、学園長に許可をとって一時的に連れ出す為である


「なんや、兄さんか。何か用か?」

すでに事情聴取も終わったようで少し暇そうな小太郎だが、横島が来た事には驚きの表情を浮かべた


「ああ、昨日お前を助けた子達が会いたがってるからな。 一緒に来てくれないか?」

「ちづ姉ちゃん達か!?」

「まあな。 ここで居ても暇だろ? ネギも居るし夕飯くらいは好きなもん食わせてやるぞ」

横島の誘いに小太郎は迷う事なく着いていく事になる

今後の処遇が決まるまで保護の名の元の監禁状態だったのだから当然だろう

それに小太郎自身も千鶴達がどうなったのか心配してるようだった


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