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二年目の春・9

その後、刀子は明日も早いからと帰宅して、少女達はまだ遊び足りないのか二階に上がっている。

地元のケーブルテレビでは麻帆良祭前夜祭スペシャルということで、前夜祭のイベントや各出し物やイベントを特集して放送していた。


「本当に出来ないね。」

タマモは数人の少女達とボードゲームで遊び始め、何人かは魔法の練習をしたりしながらテレビを見ている。

同じリビングではハニワ兵達が集まり宴会をしていて、桜子なんかはそっちに混ざって宴会のおつまみを食べているので、ちょっとしたカオスな光景かもしれない。


「出来なきゃ生きてけない物じゃないしな。 気長にやるのが一番だよ。」

魔法はまき絵と亜子は未だに初歩の火種の魔法が出来ず、他はその次の初歩の治癒魔法の段階で止まっている。

勉強に部活に私生活に忙しい少女達なだけに、なかなか時間が取れないのが現状であり、本当に気長に暇な時間を見つけてやっている程度だ。

高等魔法を覚えれば便利なのは理解するが、いつそこまで上達するか分からない現状では、モチベーションは必ずしも高くはない。

まあ、ちょっとした希望を糧に地道に練習してる段階であった。


「マスター。 酔っちゃった。 今夜は帰りたくないなぁ。」

「紅茶とジュースでか?」

明日からいよいよ麻帆良祭本番ということで、少女達のテンションも高いのか、しばらくすると美砂は横島に絡み始めた。

流石に横島もハニワ兵達も、少女達にはお酒を飲ませてないので完全なシラフのはずだが、テンションというかはっちゃけ具合は少女達の方が高い。


「あー! ズルい! 私も!!」

「わたしも~」

ただし美砂が横島に絡み始めると、ボードゲームが終わって次は何しようかと話していたまき絵とタマモが混ざり、横島は子供に引っ付かれるお父さんのような状況になる。

まあよくある光景であるし、特にタマモが楽しそうなのはいつもの通りだった。


「『クックック。 育って来たな。 そろそろ食べ頃か。』 マスターはいよいよ、その身に秘めた内なる衝動を解放するのであった。」

「えー! 本当!?」

「ハルナの妄想ですよ。」

ちなみにハルナは麻帆良祭で売る怪しい同人誌の製作に間に合ってご機嫌らしく、早くも夏のコミケに向けてネタを考えてるようだ。

横島と引っつく美砂やまき絵を見て、即興で横島達の絵を描き勝手な台詞を加えている。

思わず反応するまき絵にハルナはニヤリと意味ありげな笑みを浮かべるが、夕映はいつものことだと冷静だった。


「エロ本のネタにするのは、止めてくれ。 俺の爽やかなイメージが壊れるだろうが。」

「何言ってんの。 男と女に友情はないのよ! マスターだって同じはずよ!」

「いや、そんな話を俺にされても困るんだが。」

ちなみに横島はエロ本のネタにされるのは流石に嫌らしく、少し疲れたように注意するも、ハルナは自身の訳の分からない理屈で盛り上がる。


「友情はあるんじゃない?」

「あると思いますよ。」

「ハルナの理屈は屈折してますから。」

ただここで少女達は男女間に友情があるかで話が始まり、それぞれに意見を口にしていく。

まあほとんどの少女達は男女間にも友情はあると考えていて、ハルナは少数派であった。


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