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二年目の春・9

「どうやって、魔法を使ったスリを見抜いたんですか?」

「どうって、なんとなく?」

魔法を使った犯罪を初めて目撃した少女達は、犯罪者の末路よりも横島がどうやって見抜き捕まえたのかに興味を持っていた。


「なんとなくって、そんないい加減ね。」

「技術的な話をすると魔法ってのは、一般的には魔力やら気やら霊力やらを使って、科学じゃない法則の元で行使する技術なんだよ。 当然魔法を使えば魔力が消費されるし、人為的に世界に変化を与えるからな。 それを感じる事が出来れば気づくはずだ。」

横島が本当は強いのは理解する少女達であるが、詳しく聞いたことはあまりない。

また聞いても理解できないレベルなために、夕映やのどかにあやかや千鶴などは興味深げに聞いているが、他は半分聞き流している。

タマモも当然理解できなく、さよや明日菜やまき絵や桜子とトランプでババ抜きをしていた。


「今回の場合だと、認識阻害の魔法使ってたが。 あれって故意に認識を逸らしてるからな。 ちょっと魔法を理解してれば、魔法を使ってるのに気づくことが出来るんだよ。 あと俺は敵意とか害意とか悪い感情がある人も気づくけど。 ああ、タマモもある程度は無意識に敵意とか害意がある人は避けてるっぽいな。」

魔法を使ったスリの対策になればと、興味深げに聞く少女達に横島は説明するが、流石に話を聞いただけで対策になるほど簡単ではない。

ただ魔法の奥深さと無防備に見えるタマモが、本能的に危険から避けてる事には少し驚いている。


「でもタマちゃん。 ナンパをしていた男達に飛び出したわよね?」

「無意識だからなぁ。 助けなきゃって思えば危険でも飛び出すと思う。」

尤も明日菜なんかは、麻帆良の時間で前日にはタマモがナンパ野郎と高音の間に飛び出した件を思い出して、少し首を傾げていた。

異空間アジトでバカンスをしていたので、日にちの感覚が少しずれてるが、あれは麻帆良の時間では前日のことになる。


「そんなことしてたの?」

「危ない事はあかんえ。」

ちなみに今日のスリといい、軽いトラブルに巻き込まれる横島に、何人かの少女はやはり横島はトラブルに巻き込まれやすい体質かと思うが、基本的に横島に非はないはずだ。


「こまってるひと、たすけたんだよ!」

「そっか。 でも一人で危ない事はあかんえ。」

「うん!」

一方タマモとしては一人で飛び出したのは、千鶴に注意されて反省しているが、困ってる人を助けたのは胸を張って主張する。

行動そのものは木乃香達の教育の賜物のような結果だけに、木乃香達はそれを認めつつ注意するしかなかった。


「でも、魔法を使った犯罪は怖いね。」

「魔法使い自体、数が少ないもの。 魔法の犯罪に遭遇する機会なんて、普通に生活してればまずないわよ。」

魔法犯罪に関しては、魔法使いの数から考えても遭遇する確率は決して高くはない。

加えて魔法協会や警察も無能でも無策でもない。

従って多少不安になる少女も居るが、刀子はこんなことはまずないと笑って安心させていた。

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