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二年目の春・9

「おいしい!」

ストーカーと分かれた横島達は、屋台のクレープ屋さんでおやつにしていた。

モチフワな生地に、甘いクリームと果物などがトッピングされた、評判のクリーム屋さんらしい。

タマモはいちごのクレープを頼むと、近くのベンチに座りチャチャゼロとさよと並んで大きく口を開けて頬張った。


「それにしても夕映ちゃんは凄いな。」

「人のことを見た目だけで判断する人は嫌いです。 もちろん見た目をまったく気にするなとは言いませんが。 ロリだとか失礼にも程があるです。」

一方横島は、そんなタマモ達を眺めつつ自身もクレープを食べるが、少しご機嫌ナナメな夕映に声をかける。

どうやら、まだ怒りが収まってないらしい。

まあ中三で来年は高校生になるのに、ロリ扱いはやはりカチンと来たのだろう。

これが友人の千鶴やあやかならば、間違ってもロリ扱いはされないはずだと思うと、余計に面白くないようだ。

横島もたまに少女達を子供扱いするが、まだ優しさからくる子供扱い故に許せる。

しかしあのストーカーは、ただ単に自身の好みと性的志向から言っただけなので、許せなかったらしい。


「クックック。 よく言った。 褒めてやろう。」

そんなご機嫌ナナメな夕映と同じく面白くなさげなのどかだが、二人とは全く正反対にご機嫌なのはアナスタシアだった。

実は見た目でロリ扱いをするストーカーに、内心ではイラッとしていたはずであったが、夕映の遠慮の欠片もない言葉に気が済んだらしい。

彼女自身も本来の姿はロリそのものなので、過去には見た目で嫌な思いもしたし面白くなかったはずなのだが。

年端も行かぬ夕映に、徹底的に断罪されたことが良かったのだろう。


「俺なら一晩は立ち直れんなぁ。」

「一晩で立ち直るんですね。」

「毛虫の如く嫌われるのは慣れてるからな。」

なお横島ならば一晩で立ち直るらしく、のどかと夕映は流石に驚く。

しかしかつての自分を思えば、そんなものだろうと横島自身は思うようだ。

嫌われる事も差別される事も相手にされない事も、散々経験済みなのだ。

尤もヤりたいなら風俗に行けという言葉は、別の意味で少し胸に刺さっているが。

かつてアシュタロスとの戦いの時に、約束した誓い。

アシュタロスを倒すと誓った時に、ヤりたいだけでそんな約束をしていいのかと、ルシオラに言われた事を思い出してしまうのだから。

無論、それだけではなかった。

ただそれがあったのも事実であり、今でも言葉には出さないが複雑な蟠りがある。


「あんな自分本意な人など、徹底的に堕ちればいいのです。」

未だに怒りの収まらぬ夕映を見て、横島は少女達を子供扱いするのは、そろそろ止めなきゃダメだなと苦笑いを浮かべながら見ていた。

美味しそうにクレープを食べるタマモとは違い、少女達はもう大人の階段を上り初めているのだから。


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