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二年目の春・8

「全く。 美人って聞くと、すぐに粉をかけようとするんだから。」

「人をすけこましみたいに言うよ。 単純な好奇心だって。」

「そう? みんなどう思う?」

「灰色でしょうか。」

「有罪かな。」

「ギルティ!」

「無自覚だし無罪かしら?」

「修羅場! 修羅場! 」

「お腹すいた~。」

プレオープン三日目も無事に終わり、後片付けや明日の仕込みに精を出す横島と少女達であるが。

店が上手く行ってるからか、テンションが高い少女達が話題にしていたのは、今日の大食い美女達と彼女達が来た時の横島の反応だった。

横島としては深い意味などなく無実を訴えるが、そんなことをしながら女が集まるのが横島であり、新しい女もフラグも要らないと、美砂を中心に木乃香達やまき絵に千鶴までが冗談混じりに横島をイジッていた。

ハルナや美空や鳴滝姉妹なんかは、そんな横島と少女達に友人の生々しい男女の修羅場を期待してワクワクしている。


「なあ。 俺そんなに信用無い?」

「信用はしてるわよ。 誰よりも。 でもマスター女の人を傷付けても拒否出来る? 出来ないわよね。」

「うっ……」

一緒に居るのが当たり前になり、いくら非常識の塊のような横島でも少女達の好意とその本気さに、全く気付いてない訳ではない。

普段はあまり考えないようにしてるが。

正直横島は少女達に信用されてないことを嘆くが、少女達は横島のことなどお見通しであり信用はしてる。

ただし横島の欠点もお見通しなので、基本的に女性を傷付けたり拒否したりすることが、なかなか出来ないタイプなのも理解していた。


「マスターってさ。 知り合って間もない女の人の為に平気で無茶しそうよね。」

「あっ、なんか分かる!」

「国とか世界とか敵に回しそう!」

「まさか~。 流石にそれはないって!」

横島も少しは自覚があるのか反論が止まると、横島の非常識さを多少は知る3ーAの少女達は冗談混じりに横島をどっかの映画かなんかの主人公に見立ててからかうが。

夕映なんかは本当に似たようなことやったのではと、少し疑いを持っている。

他にも横島の裏を知る少女達は横島ならやりかねないと、割と本気にしていて笑えないなと思いながら笑っていた。

ちなみに横島本人は、タマモを抱き抱えて聞こえないふりをしている。

今現在ですら、半ば魔法世界を敵に回してるようなモノだと流石に言えるはずはなかった。

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