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麻帆良祭への道

以前の茶々丸ならばそこに疑問は感じないだろう

茶々丸の人工知能にはそのようなプログラムはないのだから

本人は気付いてないが茶々丸は現在魂とAIのバランスが変わりつつあり、魂にAIを合わせるかのようにAIが進化を始めている

元々茶々丸は自分で学習してAIを書き換える能力があるが、魂という生命の誕生は創造主である超鈴音の予期せぬスピードでAIを成長させていた


「んっ? どうかしたか?」

「いえ、なんでもありません」

そんな茶々丸の表情が微妙に違うことに気付いた横島が声をかけるが、茶々丸は疑問を口に出すことは出来ない

自らに沸き上がる好奇心に茶々丸は若干戸惑いながらも、それが聞いてはいけない質問であることは十分理解している

超鈴音やエヴァと共に生きて来た茶々丸は、暗黙の了解というモノをきちんと了解していた


「そういや最近、エヴァちゃんが来ないけど風邪でも引いたのか?」

微妙に変化する茶々丸の表情を楽しんでいた横島だったが、ふと気になっていたことを尋ねる

ちょっと前まで毎日のように来ていたエヴァが最近来なくなったのだわざわざ調べるほどではないので放置していたが少し気になるらしい


「いえ体調は元気なのですが所用の為に家に篭ってます」

「そっか、元気ならいいんだ。 そういやあ、水ようかんが余ってたな。 帰りに持って行ってくれ」

茶々丸はエヴァの体調に問題はないと告げるが、流石に呪いの研究をしてるとは言えなかった

一方横島は茶々丸の言葉から本格的に呪いを解く気になったことを悟るが、こちらもそれ以上深入りするはずもなく差し入れ代わりに余っていた水ようかんを持たせる程度だ


(お手並み拝見ってとこか。 助けてやれん訳ではないけど、あれは自分で解くべきなんだろうな)

エヴァの現状には横島は同情的だったが、進んでお節介するつもりもない

仮にエヴァが危機に陥ってるなら違うのかもしれないが、現状ではエヴァが自分で呪いを解くべき時間もある

無関係な横島が勝手に要らぬお節介を焼くべき事柄ではないし、ナギの問題を含めてエヴァ自身でケリを付けるべきなんだろうと横島は考えていた


(誰かを助けるのは難しいな。 昔の俺なら何も考えないで助けた気もするけど……)


エヴァの件を考えていた横島は、ふと誰かを助ける難しさをしみじみと感じてしまう

仮に横島がお節介を焼いて助けてもエヴァは自由になれば素直に喜ぶかもしれないが、それではいけないと横島の中の彼女達の経験が教えてくれている

時には静かに見守ることも必要だと、そんな誰かの声が聞こえる気がした


(あの厄介な呪いをあの子はどうするやら……)

しかし実際問題としてエヴァの呪いは横島から見ても少々厄介だった

魔王とまで異名を持つエヴァがその呪いをどうやって解くのか、横島は僅かに楽しみに感じてしまう部分もあるようだ

結局横島は茶々丸に差し入れの水ようかんを持たせる以外は静かに見守ることなる


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