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二年目の春・8

同じ頃超鈴音は葉加瀬と共に、横島達と入れ替わるように休憩に入っていた。

とある平行世界と違い、すでに計画は破綻している彼女は結構暇で、工学部系のサークルからトラブルなどのSOSが来ると助っ人として助けに行くくらいしかやることはない。


「またその人のニュースですか?」

「今や時の人ネ。」

超鈴音と葉加瀬は特にすることもなかったので、研究室にてマホネットのニュースを見ていた。

トップ項目のニュースは、ここ最近は全てクルト・ゲーデルの話題ばかりだった。

きっかけは詠春による後継者否定であり、メガロメセンブリアのマスコミは英雄のスキャンダルとして面白おかしく書き立てている。

元老院もつい先日までの仲間にも見捨てられたクルトは、全ての罪と対価を一身に背負わされるように過去の違法行為ギリギリの行動など、次々と暴かれていた。


「超さんの過去にはなかった事なんですよね?」

「確かになかったヨ。 私の時代には彼の評価は分かれていたネ。 魔法世界を救おうとしたと見る人も居れば、彼のせいで魔法世界の崩壊は止められなくなったと見る人も居るネ。 優秀な人なのは間違いないけど、人の上に立たせては行けない人というのが総評ヨ。」

クルトの行動が自己の欲からくる行動でないというのは、超鈴音の歴史でも明らかだった。

ただしやり方が極端で他人の意見や話を聞かないなど、魔法世界崩壊の主犯の一人とも見られている。

無論クルトは善意の悪人なのだが、それ故にタチが悪い。


「なら彼が自由に動けなくなることは、悪いことではないのでは?」

「それでも彼ほど魔法世界を救おうとしてる人は、今の魔法世界には居ないネ。」

麻帆良においては歴史は簡単に変わり、未来人の超鈴音の知恵と計画すら阻止されたが、一方で魔法世界は確実に崩壊に向かい歩んでいる。

超鈴音は最早魔法の公開などしようと思ってないが、それでも悲惨な未来を思うと魔法世界は崩壊しないで欲しいと思う。

魔法世界を救う鍵を握るネギ・スプリングフィールドは、未だ祖父と共に隠匿生活をして表に出る気配はない。

明日菜に至ってはネギ以上に魔法世界に関わる可能性が低く、客観的に見ると打つ手ナシとしか思えなかった。


「どうすれば歴史は変わり、どうすれば変わらないのか。 それとも変える出来事により違うのか、調べてみたいですね。」

「それは止めておいた方がいいネ。 個人の意思で世界を歪めるような行為は、今を生きる人達の逆鱗に触れるヨ。 カシオペアはいつか時間を悪用する人が現れた場合の、抑止として保管と研究すべきネ。 学園長先生にそのうち進言してみるつもりヨ。」

葉加瀬は変わる歴史と変わらぬ歴史の流れに、科学的な検証をしたいらしいが、超鈴音はそれを否定して新たな立場と視点から時間移動技術を研究すべきだと考え始めていた。

自分だけではなく、いつか時間移動を悪用する存在は必ず現れると超鈴音は確信している。

そんな存在から共に生きる人と世界を守るために、自分が出来ることをしたいと考えていた。

今を生きる一人の人間として、超鈴音は新たな目標と価値観を少しずつ見始めていた。

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