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真の歴史へ・その二

美神美智恵、元始風水盤に介入の知らせはすぐに横島達にも届いていた

ルシオラ特製通信鬼を使った緊急通信が、ワルキューレから入ったのだ


「やはり介入したわね…」

事前に情報を得ていただけに、ルシオラとしてはここまでは想定の範囲内である


「何をしたかったのでしょう? まさか針の作成を阻止するつもりでしょうか?」

小竜姫はその中途半端な介入から美智恵の行動の意味を考えていた

数多くの風水師や霊能者が居る香港で、針の作成を阻止することは不可能である

美智恵らしくない中途半端な行動は、あまりにも不自然だった


「それは無いわね。 彼女の目は遥か先、アシュタロス戦しか見てないもの。 行動した証が欲しかったか、情報が欲しかったかじゃない?」

紅茶を飲み意味ありげな笑みを浮かべるタマモ

美智恵の思考を一番予測出来るのは彼女だろう


「タマモちゃんの言う通りだと思うわ。 彼女はあちこちから情報を集めてる形跡があるの。 黒岩の情報でも欲しかったんだと思うわ」

オカルトGメン日本支部のコンピュータはルシオラの監視下にあるようで、美智恵があちこちから調べた履歴は全てルシオラに把握されていた


「皮肉なものですね。 人間の技術であるコンピュータをこちらが押さえてるのに気が付かないなんて……」

ルシオラのあまりの手際の良さに、小竜姫は思わず苦笑いを浮かべてしまう


「戦いに大切なのは何よりも情報よ。 いくら強かろと、情報がつつぬけじゃ勝てないわ」

自信に満ちた表情で言い切るルシオラを見て、小竜姫とタマモは改めてルシオラの凄さを実感する

本来は人間が得意とする情報戦を現段階で制してるのは、確実にルシオラなのだから……


「私達はいつ行くの?」

「準備も終わってるから、明日出発するわ。 メドーサ達の活動が活発になったみたいなの。 当初の予想より計画を早めた可能性があるわ」

タマモの問い掛けに答えるルシオラ、それを聞いた小竜姫とタマモも出発に向けて準備をしていく



その日の夕方、横島達は雪之丞やおキヌ達に数日事務所を空けることを説明していた


メドーサなどの過激派魔族の計画阻止など、ある程度事実を教えている

未来に関することは秘密だが、この仕事が神魔界の仕事なのは説明していた


「これはGSとしての仕事じゃない。 神魔界が動けない仕事を俺達が代行する形になる。 おキヌちゃんと小鳩ちゃんと愛子には留守番を頼むな」

ある程度説明が終わると、横島はおキヌ達には留守番をしてもらうことを告げる


「俺はもちろん連れて行くんだろ?」

やる気と気合いの入った表情ですっかり行く気満々の雪之丞を、横島は静かに見つめていた


「正直、迷ってる。 今回の仕事はお前が思うより遥かに難しく複雑な仕事だ。 もしかしたらお前の人生に多大な影響を与えるかもしれない。 俺はお前に関わらせたくない気持ちもある」

横島は珍しく雪之丞やおキヌ達の前で迷いの表情を見せる

雪之丞を連れて行くかどうかに関しては、ルシオラ達の意見も纏まって無かったのだ


実力の問題は未来よりは優れているし、何より横島達との連係も出来るので戦力としては不足は無い


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