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麻帆良祭への道

次の朝、横島はいつものように夜明けと共に庭に出ていた

この家に引っ越して来て以来の日課となっている庭の世話だが、地味に大変な作業の連続だった

そもそも横島は植物を育てるなど全く経験がなく、水や肥料の量が作物により違うことすら知らなかったのである

仲間達から受け継いだ知識や経験が多い横島にとって、一から自分で調べて経験することはある意味貴重な経験だった


(ハニワ兵の苦労が分かるな……)

基本的に横島は細かいことは全部土偶羅に丸投げである

異空間アジトで各種農産物を生産してるのは専門のハニワ兵達なのだ

まあ異空間アジトの農産物の生産は基本的にオーバーテクノロジーも真っ青な魔法技術や科学技術を取り入れてるため、実際の農業とはまた違うのだが……

具体的に違う一例として病害虫対策だが、こちらは異空間アジトには病害虫避けの簡易結界が存在しており農産物の生産場所は全てそれで取り囲まれている

これは元々横島の世界でGSが使っていた簡易結界をドクターカオスが改造したアイテムだった

一見するとただのロープのような簡易結界を、ハニワ兵は必要になり次第畑などに張っていくのだ

ちなみにこの病害虫避け簡易結界も、異空間アジト内の魔法科学専用品工場でハニワ兵によって造られた物だった

基本的に異空間アジトは横島がすることは全くないのである

少し話がズレたが、そんな便利グッズもなくハニワ兵も頼らない家庭菜園は本当に大変なようだ


「にゃ~」

横島がしばし考え込んでる間に、庭に住み着いた野良猫達が集まって来ていた

朝の挨拶に来ただけの猫も居れば遊んで欲しい猫もおり、それぞれ目的は違うが一応に横島に対しては好意的である


「街には人が多いから気をつけるんだぞ」

一匹ずつに返事をしていく横島だったが、麻帆良祭が近くなるにつれて庭に泊まる猫達は少しずつ増えていた

この時期麻帆良は観光客も増えるし、猫達にとっては見知らぬ建物など増えるためやはり苦手な時期らしい

横島のように庭に入っても怒らない人が他にも居るらしく、麻帆良祭期間は猫達はそれらの場所で避難しているようだ


「怖い人とか居るからな~ この前なんかも……」

いつものように朝から猫と世間話をする横島だったが、幸いなことに横島宅の庭は塀が高いので人には見られてない


「おはようございます」

そう……、毎朝やって来る茶々丸以外は誰も見ていないことだった


「おはよう。 今日もみんな元気だったか?」

「はい、皆さん体調に問題はありませんでした」

すっかり朝の日課になった茶々丸の訪問だが、彼女は横島宅に来る前に他の猫達のたまり場などを巡回している

少し前に一匹の猫が体調を崩して動物病院に運んで行ったらしい

その話を聞いてから横島は他の猫達の体調を少し気にしていた


「そりゃよかった。 食欲落ちた奴とか居たら連れて来てくれ。 医者ほどじゃないが、食事で体調回復することもあるからな」

横島は笑って話しているが、茶々丸は横島の言葉に微かな疑問を感じる

横島が魔法関係者なのはエヴァより聞いて知ってはいるが、茶々丸は実際に横島がどう魔法に関係するのか知りたいと考えるようになっていた



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