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二年目の春・8

午後になると少女達もだいぶ仕事に慣れて来たので、本番を想定して人を本番と同じくらいまで減らすことにした。

まずは昨日から働き詰めの横島と木乃香などが外れてしばらく休憩となるが、あいにく他の少女は部活の準備に行ってしまい暇になったのは横島と木乃香だけである。

ちょっと祭り見物でもしようかと、横島と木乃香はタマモを誘って大学部の近辺を散歩することにした。

二人は流石に準備期間なので普段着に着替えたが、タマモはコスプレ衣装のままで物凄く目立っていたが。


「相変わらずいろいろあるなぁ。賞金も結構高いし。これ麻帆良祭だけで一年の生活費稼げるんじゃねえか?」

「横島さんが参加するのは反則に近いと思うわ。」

大学部近辺は企業の出店ブースやパビリオンに各大学の学部やサークルの出し物や出店など、趣向を凝らした者が多く見てるだけで楽しい。


「へぇ。 武道会かぁ」

「どうしたん?」

「平行世界の中には麻帆良祭の武道大会に魔法使いが出て、バンバン魔法使ったバトルした世界があるんだよ。」

「うわ~。 それはあかんやろ。」

「一言で言えば魔法公開しようとした、超さんの策略だったんだけどな。」

途中横島は掲示板の目立たない位置に他のチラシに隠れるように貼られていた、麻帆良武道会の貼り紙を見付けるとふと足を止めていた。

木乃香とタマモは少し不思議そうにそんな横島に視線を向けるも、横島は膨大にあった超鈴音の歴史や土偶羅がついでに集めた、平行世界の歴史の資料にあった武道会だと思い出していたようだ。


「二十年前までは魔法関係者も出る、人気のイベントだったらしい。魔法を使ったバトルは西洋魔法の歴史だと古くからあるみたいだしな。魔法協会からメガロを追い出した事とか、家庭用のビデオカメラの普及で、今じゃ裏の人が参加することはないみたいだけど。」

「へぇ。 そうなんや。」

「さて、なんか遊んでみるか?」

「うん! あれがいい!」

横島自身はそんなに詳しくは覚えてないが、超鈴音が過去に居ない超鈴音の世界の歴史だと、観客もまばらな小さな麻帆良武道会にネギ・スプリングフィールドは友人の小太郎に誘われるまま参加して、そこでアルビレオ・イマと出会い魔法世界に行く切っ掛けになるはずだった。

そして横島が居ない平行世界では、超鈴音が歴史を元に麻帆良武道会を大規模なイベントに変えて魔法公開の計画に利用することになるが、この世界ではどちらもあり得ないことだった。

木乃香は珍しく横島が平行世界の話をしたことに少し驚きながら聞いていたが、横島自身は平行世界の歴史の転換点の一つの痕跡を見付けたことで少し口を滑らせただけであり、特にこの世界では意味がないのであちこちで見て回りたくてウズウズしてるタマモに急かされるように再び歩みだした。


「横島さんが武道会に出たら、どないなったんやろか。」

「観客が居る条件なら、この世界の誰が相手でも負けないと思う。単純な武術の試合ならな。」

普段の姿からは想像も出来ないが、横島は高畑や刀子に楽に指導してる姿しか木乃香は知らない。

もし横島が本当に武道会などに出たらと考えてしまうが、横島は珍しく強気な発言をして木乃香を驚かせる。


「好きか嫌いかって言えば嫌いだけどな。殴られるのも殴るのも。怖いだろ?」

「怖いん? 強いのに?」

「ああ。 怖いよ。 逃げ出したくなるのは、強くなっても直らんかったしな。」

「よう分からへんけど、横島さんらしいわ。」

しかし次の瞬間には武道会なんか嫌いだし怖いと発言してしまい、木乃香を笑わせていた。

逃げ出したくなるという言葉に木乃香は冗談だと受け取ったように笑うが、横島は本心から逃げ出したいと思うんだけどなと苦笑いを見せることになる。
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