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二年目の春・8

「寝ちゃいましたね。」

さて自宅に戻った横島達だが、タマモはお風呂から上がるとすぐに睡魔に襲われ眠ってしまっていた。

一足先に横島のベッドに寝かされたタマモは、時折布団を蹴飛ばしながら気持ち良さそうに眠っている。

そのつど気付いた横島やさよやハニワ兵に直されているが、この日は少し暖かい夜なので布団が暑いのかもしない。


「うーん。予想外に人が来たなぁ。」

横島に関してはこの日の売り上げと来客数のデータを見ながら明日以降の対策を考えていたが、調理時間やレジでの会計時間は正直なところもう削れる時間はない。

行列の整理もしていたし、十五分の世界の名勝の映像を一回見た人には席を開けてくれるように頼んでもいる。

店の規模から考えても、大幅な対策は取れるだけの余裕はすでになかった。


「今日も売れたポー」

「明日はもっと売るポー」

ちなみにここ数日の横島宅は、ちょっと賑やかだった。

麻帆良に来ているハニワ兵達の滞在先の一つになっているらしく、普段使わない三階の部屋なんかに泊まっているハニワ兵達が居るのだ。

しかも彼らは祭りだということで、夜な夜な打ち上げをしていたのである。

なおこの時期の麻帆良はすでに混雑をし始めていて、市内の主要なホテルはほぼ満席になっていた。

他にも麻帆良湖畔にあるキャンプ場や、 郊外にある空き地を利用した臨時のキャンプ場には、県外から来た観光客がテントで寝泊まりしていて、ハニワ兵達もかなりそちらに回っている。

人数が多いので夜は異空間アジトに帰るハニワ兵も多いが、横島宅のハニワ兵の友人は横島の家に寝泊まりしているらしい。


「飲むポー」

「さよちゃんも飲むポー」

「私もですか?」

「祭りの夜はみんなで飲むのが一番だポー」

横島が悩む周りで酒盛りをしてる人に化けたハニワ兵達は、さよや横島宅のハニワ兵をも巻き込み宴会をしていく。


「お前ら騒ぎ過ぎてタマモを起こすなよ?」

「大丈夫だポー」

「マスターも飲むポー」

誰に似たのか楽しげに宴会をするハニワ兵に、横島はタマモを起こさないか少しハラハラしていたが。

ハニワ兵達は一応タマモを起こさないように、静かめに宴会をしているらしい。

ちなみに横島はハニワ兵達からマスターと呼ばれている。

元々ハニワ兵を創造したアシュタロスが神ならば横島は今の主人であり、いつの間にかマスターと呼ばれていた。
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