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二年目の春・8

波の音と少女達やハニワ兵達の賑やかな声が響く中、横島は砂浜に寝転び微睡んでいた。

かつて海に行った際には、ナンパをしても相手にされず血の涙を流したことをふと思い出しながら。

決していい想い出ばかりではないが、令子が居ておキヌが居たあの頃が、時を経てみると悪くないなと思えてくるから不思議だった。

そう言えばずっとナンパしてないなと今更ながらに思う。


「マスター! あそぼ!」

「水着で男の上に乗ったらアカンやろうが」

「えー!? 私は気にしないよ?」

「俺が気にするわ!」

理由は考えるまでもなく、いつからか一人になることがほとんど無いからだなと横島は気付くが、そんな時横島のお腹の上に暇をもて余したまき絵が乗ってくると、横島の微睡む時間は終わりを告げる。


「私、そんなに魅力ある? 照れるなぁ。」

「……ボジティブだなぁ。 そんなとこ嫌いじゃないけど。」

先程からまき絵や桜子や美砂が引っ付いてくるが、横島が何度注意しても聞き流す強者達だ。

ある程度確信犯の美砂は別だが、まき絵と桜子なんかはかつてのシロを思い出すような、半ば天然であり横島も最近はあまり注意すらしなくなったが。

とはいえ水着を着た時くらいは恥じらいを持ってほしいと、割と本気で思うらしい。


「わたしも!」

「あら、楽しそうね。 私も混ざろうかしら?」

まき絵が乗っているとタマモが自分もやると乗って来てしまい、横島はすっかり乗り物にされてしまう。


「ちょっと!? 千鶴ちゃん!?」

ここまでならば何時もの光景だが、この日はそんなまき絵とタマモを微笑ましげに見ていた千鶴が参加しよう言い出すと、流石に横島は慌ててしまった。

別にスタイルの良し悪しで人を判断してるつもりは横島にはないが、慣れてるまき絵や桜子ならばともかく他の少女達では意識してしまうらしい。

まあ中学生らしからぬスタイルの千鶴というのも多少は影響しているのだろう。

桜子もスタイルはいい方なので慣れても良さげなのだが。


「ヘタレめ」

「へたれってなあに?」

「奴みたいな男のことだ」

「こら! タマモに変なこと教えるんじゃねえ! それに俺はヘタレじゃないからな!」

相変わらずな横島と少女達だが、それを眺めていたアナスタシアは呆れた様子で一言で横島を切り捨てる。

タマモが見知らぬ言葉に興味を抱く中、横島は珍しくヘタレ呼ばわりされるのは納得がいかんと抗議するも、少女達は何故そこだけそんなに反応するのかと首を傾げていた。

それぞれ好意の度合いに違いはあるし、何人かは友人以上の感情は抱いてないが、それでも大半が明確な好意を向けてもなにもしない横島は誰が見てもヘタレだった。

一人を選んでとは言わないが、周りからはすっかり横島と関係を持ってると見られてるアナスタシアや刀子から見ると、特に横島はヘタレにしか見えないのかもしれない。



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