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真の歴史へ・その二

一方、先に香港入りした美智恵達は、一流風水師のウォンをマークしていた

ウォンは香港でも名前が売れており、未来においても犠牲者になった一人である


「いい、敵を生きたまま捕まえることが第一目的です。 捕らえてメドーサ達の情報を得なくてはなりません」

ウォンの事務所を近くを見張る西条は、ここに来る前美智恵に言われたことを思い出す


「先生、銃使用の許可は?」

「ダメとは言わないけど、あくまで非公式な活動です。 派手にやれば、私達が香港の警察に捕まるわ」

美智恵の無茶な命令に、西条は表情を変えないが内心ため息をはく


(目立たず密かに捕まえろと言われてもな…)

また無理なことを言い出した美智恵に、西条はどうするか悩んでいる

実質戦闘の出来る人員は美智恵と令子と西条の3人しか居ない

とてもじゃないが、メドーサの相手など出来ないだろう


(まあ確かに、この黒岩と言う男なら捕まえれる可能性はあるが…)

美智恵が西条と令子に言った第一目標は黒岩の捕縛である

西条はそれを不思議に感じていた

確かに黒岩は国際指名手配の人物だが、普通に考えればメドーサが第一目標のはずなのだ


(どうも最近の先生はわからないな…)

少し愚痴を考えながらも西条はウォンの事務所を見張っていく



そして西条と別の地点では、美智恵や令子もウォンの事務所を見守っていた


(あの黒岩は、何としても捕らえて情報を聞き出さなくては…)

周囲を歩く人混みを冷静に観察しながら、美智恵は険しい表情でウォンの事務所に出入りする人を確認する


彼女が最も欲しいのは、何よりも情報だった

アシュタロス一派から令子を守る最大の武器は、未来を知っていること

そして未来と変わり始めた現在の情報を的確に知ることが、未来の記憶を最大限生かすのに必要なのだ


その現状で美智恵が今一番欲しい情報の相手は黒岩である

イレギュラーな存在であり、その強さは人間を超えている可能性が高い

美智恵が知る未来や今後の事件に影響を与える可能性が高い、危険な存在の情報が何としても欲しい


ある意味、風水師の失踪事件や元始風水盤の阻止は二の次だった

元始風水盤に関しては小竜姫が必ず動くと見込みを付けているので、後は自分達も関与して小竜姫や横島に解決させるのが理想なのだ



そして令子は、道行く人を見つめ少し羨ましそうにしていた


「せっかく香港まで来たのに、知らないオッサンの護衛なんてツイてないわね~」

楽しそうな人々を見ると、なんで自分だけがこんな面倒なことをやらないといけないのかと思ってしまい、令子はやる気がでない


「ママは相変わらず、隠し事ばっかりだし…」

令子とて馬鹿ではないので、美智恵が何かしらの目的の元動いてるのは薄々感じている

しかし、娘の自分にも何も理由を言わずに面倒な事をさせるのは納得がいかない


「この人混みの中で変装してる可能性のある、メドーサや黒岩を探せる訳ないでしょうが…」

一応言われた通りにウォンの事務所に近寄る人間を確認していく令子だが、元々こんな地道な作業は向かない性格なため西条や美智恵に比べれば真剣味が足りないのは仕方ないことだろう

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