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二年目の春・8

「出来たー!」

最終的に仮設店舗が完成したのは、日付が変わり深夜一時になる頃だった。


「やったね!」

「タマちゃん最後まで、よく頑張ったわね」

「うん! ねてないよ!!」

先程から睡魔に襲われて寝落ち寸前だったタマモも、睡魔を吹き飛ばすほどに喜び少女達と共に仮設店舗の完成を喜ぶ。

ちなみにこの場には報告の為に一旦女子中等部校舎に戻っていた高畑も再度合流していて、明確に言えば規則違反になるが手伝っていた。

本来の規則では止めねばならない立場なのだが、ここで融通が利かないようでは麻帆良学園の教師は出来ない。

安全面や防犯面の配慮もあって、高畑がきちんと最後まで監督するのは必要なことになる。

無論バレたら軽く口頭注意くらいされるだろうが。


「明日のプレオープンは十時ですから、一旦解散しましょうか」

「ちょっと待って。 もう終電もないよ。 歩いて帰るの!?」

「仕方ないじゃん。 タクシー高いよ?」

徹夜はなんとか免れた少女達であるが、問題なのは真夜中に終わっても女子寮までどうやって帰るかという問題だった。

一台のタクシーに四人は乗れる。

あやかなどは人数で割り勘すれば多少高いだけなので、タクシーで帰ってもいいのではと考えてるようだが、少女達はタクシーは高いだろうと二の脚を踏む者も多い。


「この辺りに仮眠出来るとことかないの?」

「無くはないネ。 ただ前に問題を起こした件で使えないネ」

個性的な少女達故になかなか意見の統一が出来なく、中には何処かで雑魚寝の仮眠でいいやと考える少女も居て大学部に詳しい超鈴音に尋ねるも、例の計画を潰した時に規則破りなどで問題視されただけに流石に下手なことは出来なかった。


「タクシー代は俺が出すって。 まだ夜は寒いしな。 今風邪引いたら大変だろ。 帰って休んだ方がいいな。」

なかなかこのあとのことが決まらない一同の話を、横島はタマモを抱き抱えながら聞いていたが、タマモが再び睡魔に襲われてくると苦笑いを浮かべながらタクシーで帰るように話を進める。

そんな横島の提案に素直に喜ぶ者も居れば、申し訳ないからと言う者も居て結局話が決まらないので、横島は半ば勝手にタクシーを呼び全員で女子寮まで戻ることにした。

こういう場合、教師の高畑は立場もありなかなか思いきれないが、横島はある意味部外者なので気楽である。


「マスターありがとう!」

最終的にタクシーで戻った一同に横島はお礼を言われて、自らも家に戻ることになるが。

美砂達の提案で異空間アジトで二日ほど休養したいということになり、今回はそれぞれの女子寮の部屋から異空間アジトに転移して十数分後には集まることになった。


「あーあ、タマちゃん熟睡しちゃったわね。」

「完成して気が抜けたんだろ。」

ちなみにタマモは帰りのタクシーの中で寝てしまった為に、寝たまま異空間アジトに連れて来ている。

前回異空間アジトに来た際に借りた別荘に着いた一同は、ここ数日の疲れをゆっくり癒すことにした。



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