このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

白き狼と白き狐と横島

その後西条が雇った弁護士と京子は示談交渉入るが、交渉は終始京子のペースだったという

西条が弁護士を通じて難色を示したのは横島へ直接謝罪する事であり、西条としては和解金で早期に済ませたいようだった


一方横島としては西条の謝罪など欲しくもないし、仮に謝罪されても信じる事は出来ない

唯一横島が求めたのは、今後タマモとシロに関わらない事だった

その結果、西条は今後横島と魔鈴とその保護下にある妖怪に関わらないと言う誓約書を書かされて示談は終わる


ちなみに和解金の方も、西条は予想以上の金額を支払うハメになっていた

これは横島と言うよりは百合子の意向によるものであり、過去の横島への行動の報いをきっちりさせる事や今後軽はずみに横島達に関わらないように一定のケジメを望んだ結果である



そして問題の発端になった連続殺人事件だが、こちらはその後も迷走を続けて迷宮入りしていく事になる

警視庁は総力を上げて捜査を続けていくが、途中のオカルトGメンと警視庁の捜査方針の食い違いなどもあり犯人にたどり着く事はなかった

マスコミ関係も事件当初は騒いでいたが、事件が止まり捜査が行き詰まると日に日に報道が少なくなり人々の関心も薄れていく


余談ではあるが、この事件の犯人は呪われた霊刀の一種である

手にした人間の体を一時的に乗っ取る妖刀であり、警察やオカルトGメンが犯人にたどり着かなかったのも無理はなかった

そしてこの妖刀はこの後も宿主を変えて殺人を犯していくのだが、数年後にイギリスの名もなきGSに運悪く除霊されてしまう事になる

猟奇的殺人とも快楽的殺人とも言われて騒がれたこの事件の真相は、永久に歴史の闇に飲まれて終わる運命だった



「こんにちわ」

そしてこの日、京子は昼のランチタイムが終わった頃に今回の結果報告の為に魔鈴の店を訪れていた


「これが誓約書よ。 誓約書は二枚あって一枚は私が保管してるわ。 それとこっちは和解金。 契約通り成功報酬は頂いてるわ」

誓約書と和解金を横島に渡した京子は、詳しい交渉の推移を説明していく

ちなみに横島と京子の契約は基本料金は格安だったが、成功報酬は普通の契約だった

あまり甘やかさないで欲しいという百合子の意向もあり、成功報酬はしっかりと頂いている

「ありがとうございます」

誓約書と和解金の小切手を眺めつつ、横島は若干複雑な表情だった

誓約書などで今後安心とは横島には思えないし、西条が簡単にお金を自分に払う事自体気持ち悪い


「忠夫君、これが大人の対応なのよ。 本心なんて誰もわからないし、極論を言えばどうでもいいの。 問題は貴方に関わったら痛い目に会う事を向こうが理解すればいいのよ」

あまりにもあっさり終わった交渉に対し不安そうな横島に、京子は現実を教えていく


「逆に西条に逆恨みされる事もあるんじゃあ? あいつならやりかねない気が……」

「逆恨みはわからないけど、何か行動に移すのは無理だと思うわよ。 あの手の人って地位や名誉が大切だから、それを失ってまで復讐なんて出来ないわね」

西条が高額な和解金に逆恨みするのではとの不安を口にする横島に、京子は西条が今後逆恨みで何かする可能性は低いと告げる
54/55ページ
スキ