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二年目の春・8

一方翌日からは女子中等部では朝かは準備をすることになり、ホームルームも仮設店舗で行われていた。

担任の高畑が一人一人点呼を取ると少女達が返事をするが、そんなホームルームに何故かタマモが混じっている。


「最後に、タマモ君」

「はーい!」

自分はいつ呼ばれるのだろうとワクワクした様子のタマモに高畑が気付き、最後に名前を呼んであげると嬉しそうに手をあげて返事をした。

高畑もタマモのことをそれなりに知っているので、ここで仲間外れにしたら怒るのではとちょっと不安だったようだ。

周りの少女達はそんなタマモと高畑のやり方にクスクス笑っていたが、そんな和やかな雰囲気の中でこの日の準備は始まることになる。


「今年は去年より余裕だね」

「うん。 徹夜しなくて済みそう?」

「何言ってるんですか! まだ作業はたくさんあるんですわよ!」

全体の空気としては去年よりは余裕がある感じで、明後日のプレオープンまでに徹夜しなくても間に合うんじゃないかという空気になっていた。

実際横島は昨日組んだ足場で外装の取り付けをしているし、内装のほうも少女達とタマモにより取り付けが行われている。

肝心の椅子のカバーの方も、ミシンを使い一部の少女が頑張ったのであと少しだった。

流石に去年の反省が多少は生かされていて、出来る範囲で作ろうと計画をたてただけのことはある。


「ねえねえ、聞いた!?」

「うん。 聞いた。 聞いた。 今年もマグロの解体ショーやるんでしょ!?」

「任せておくネ。」

ちなみに今日は、去年トラブルにより急遽横島と超鈴音がやったマグロの解体ショーをやるらしい。

今年は正式に最初から横島と超鈴音が頼まれていて、別途謝礼を払うとまで言っていたのだが、麻帆良祭のイベントの一貫として無償協力することにしている。

横島のボケと超鈴音のツッコミという漫才師のようなマグロの解体は、評判がよく雪広グループからは他でもやってくれないかとの声が上がったほどだが。

あいにく横島も暇じゃないし、超鈴音も昨年から今年の修学旅行までは例の計画で忙しく実現しなかったことだった。


「そういえば、そんなことしてたわね。」

「雪広グループの方から、是非にと頼まれたのですよ。」

去年は準備を放り出して横島と一緒にマグロの解体ショーと無料配布に並んでいた明日菜は、去年のことを思い出したのか懐かしそうに笑っていた。

夕映とのどかは知っていたようだが、明日菜は去年もいろいろあったんだなと改めて思うらしい。

魔法のことや異空間アジトのことなど知り去年とは変わった部分もあるが、よく考えてみると横島本人は何にも変わってないのではと思う。


「まぐろさん?」

「おっきなマグロさんを解体して、みんなに食べてもらうんや。」

「わたしもおてつだいする!」

ちなみにマグロの解体ショーの話を聞いたタマモは、自分も横島と超鈴音と一緒にお手伝いすると何故か張り切っていた。



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