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あの素晴らしい日々をもう一度

「よくやったわ!」

試合が終わり怪我一つないことに改めてホッとする横島を待っていたのは、意外なことに機嫌よく横島を褒めるミカ・レイの姿だった。


「横島君のおかげで連中がクロなのはほぼ確定だ。 最終決定は後日GS協会の調査結果待ちだが、恐らく彼らにGS免許が与えられることはないだろう」

滅多に褒められた経験のない横島は逆に戸惑うが、機嫌がいいというか表情が明るいのは一緒に居る唐巣も同様である。

横島は理解してないが横島との試合での陰念の会話は一言一句記録されてるので、事前調査での白竜会の惨状と合わせると証拠として十分だった。

今回は小竜姫が未来の記憶を元に先手を打ったので、早くも最悪の事態だけは避けられそうである。


「後はさっきの陰念から証言を取れたら、まどろっこしいことしなくて済むんだけど……」

その後令子と唐巣は横島に一通り説明した後、このまま今日の会場で白竜会の三人を捕らえようと考えて陰念から確かな証言を取るために陰念が運ばれてるだろう医務室に向かう。

一方の残された横島は白竜会のことはどうでもよく、これで小竜姫の機嫌も直ったかと浮かれた気分で小竜姫の元に急いでいく。


「横島さん、よく頑張りましたね」

そのまま試合前に小竜姫が居た観客席に向かう横島だったが、小竜姫はすでに出場者控室の近くに降りて来て横島を待っていた。

褒めてほしいと言わんばかりに期待に満ちた横島を見て小竜姫はクスっと笑ってしまうが、横島の望み通りに笑顔で褒めて抱きしめてやる。

するとその笑顔と柔らかい温もりに、横島は先程までの緊張感や危機感など吹っ飛んだように喜ぶ。


「横島さん、これから先に何があっても必ず私が貴方を守りますから」

頑張ってよかったとシミジミと感じる横島だったが、そんな横島の耳元で小竜姫は優しくも確かな言葉で必ず守るからと誓う。

それは横島が見せた覚悟への小竜姫なりの答えである。

何よりも横島を優先しようとの決意の表れなのだが、残念なことに横島は全く気付かない。



「ちょっと、陰念のやつどこ行ったのよ!」

「わたしが来た時にはいなかったわ~」

さて二人だけの世界を作っていた小竜姫と横島は置いといて、医務室に向かったミカ・レイと唐巣が見たモノは姿を消した空のベッドであった。

まだ治療もしてない陰念が、忽然と姿を消してしまったのだ。

唐巣はすぐに医療班やGS協会の人間に確認するが、メドーサは小竜姫が動いた後も観客席から動いてなく雪之丞も同じく試合会場に居る。

唯一確認が取れてない勘九朗は十分ほど控室の方に行っていたらしいが、特に監視をしてる訳ではないので何処に行っていたかは分からないらしい。


「ちっ、逃げられた!?」

令子と唐巣は慌ててGS協会の人間も動員して会場内や周辺を探すが、結局陰念は見つからず仕舞いであった。



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