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その三

四月に入るとかおりは三年に進学していた。

百合子には驚かされたが、東京に居ないこともあり今のところは大きな問題にはなってない。

横島の方は自動車教習所と仕事とオカルトの勉強という日々であり、正直社会人となり多少時間が出来た程度であまり日常は変わってなかった。


「で? お前今神父のとこに住んでるのか?」

「まあな。」

そしてこの日横島は、かおりと雪之丞とおキヌと魔理とタイガーというメンバーで少し遠出して除霊に来ている。

雪之丞の参加は令子も呆れていたが、まあおキヌがいいならということで認められていて、簡単な仕事を受けてやらせてくれることになった。


「今回は文化財の古民家に出る武者の悪霊退治です。昔の武芸者のようで強いそうなんですけど、土地に括られてるらしく害はないのでしばはく放置されていたみたいですね。」

「良かったな。 雪之丞向きな仕事だ。 俺は見学でいいや。」

ただ今回は少しだけ今までより毛色の違う依頼で、結構強い悪霊が一体と人数があまり役に立たない依頼だった。

数年前に突然現れた悪霊は強い相手との勝負を求めて古民家に居座っているらしい。

かなり意思もはっきりしているが、話し合いには応じずに自分を打ち負かせる相手を呼べと騒いでいるようである。


「お前ならどうするよ。」

「うん? 俺なら文珠で浄化だな。 最悪二つ使えば成仏するだろ。 何が悲しくて悪霊と勝負せにゃならんのだ。」

「横島さんと氷室さんは能力的に有利ですわね。 問題は他の私達ですわ。 武芸で悪霊と勝負して勝てるかどうか。」

雪之丞は初っぱなから自分向きの依頼にやる気を見せてるが、ふと横島に除霊方法を尋ねると真似できない方法を言われてしまう。

はっきり言えば対悪霊は横島とおキヌは有利で他のメンバーの参考にはならない。

しかしまあ悪霊に意思があって、あまりおかしな攻撃をしてこないようなので、いわゆる相手の望みを叶えることで成仏するタイプの悪霊になる。

たかが悪霊されど悪霊とでも言うべきか、割とこの手の意思のある悪霊も居るので一つの勉強として令子は任せたのだろう。


「私もやらせてくれ。」

「ワッシも……」

事前情報では相手は命までは取らないようなので、一行はとりあえず横島とおキヌを抜きにして勝負してみることにする。

最悪文珠とネクロマンサーの笛を併用すれば、まず退治出来ない悪霊はないので力試しがしたいらしい。


「弓さんはどうします?」

「私はどちらでも構いませんわ。」

ただかおりだけは、そこまで力試しをしたいとは思わないようで消極的だったが。

彼女の場合には春休み中にも一度妙神山で小竜姫に修行をつけて貰ったので、悪霊との単純な力の差よりは自分の技や技術を磨いてる最中だった。


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