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二年目の春・7

「タマちゃん上手や。」

「まえにもやったもんね!」

嫌な客が帰ると木乃香はまだ少し面白くなさげな横島を宥めるように、この日はバイトが休みの夕映やタマモも誘って夕食にと春巻きを作っていた。

関わらないのが一番だと大人の対応をする少女達と純粋にお手伝いが楽しいタマモの笑顔で、横島はようやく気分を入れ替えていく。


「そういや内装どうするか決まったか?」

「まだ決まってないですね。何をどう作るかが意外に揉めてまして。」

そして麻帆良祭に関しては内装の細かなデザインや方針が、未だに決まってなく少し問題になりつつある。

海の中の綺麗な景色や世界の名所を立体映像で流すならば、いっそ内装の壁をなにも手を加えないスクリーンのような白地にするのも一つの選択しにあった。

ただここで問題なのがやはり椅子とテーブルで、ファンタジーで可愛い椅子やテーブルにしたい派と、ちょっと高級感あるレストランのようなテーブルクロスなどを敷く大人しい派などが揉めている。

加えて超鈴音が立体映像にてプロジェクションマッピングをやりたいと新たに言い出してもいて、余計に少女達は悩んでるようだった。

そこに統一感を求めるならば当初あった海中レストランに戻って、椅子やテーブルを珊瑚にしたりした方がいいという意見も再浮上していたりする。


「タマちゃんはどんなお店がええの?」

「むずかしい。 いろんなおみせ、やってみたいもん」

春巻きを巻くタマモは木乃香や夕映にどんなお店がいいか聞かれるものの、いろんな楽しいお店がやりたいらしくタマモまで悩んでしまう。

極論を言えば今年は昨年のような成績はほぼないのだし、自由にやろうよという意見が大半だ。

ただ自由にやろうとすると纏めるのが一苦労らしい。


「いっそ。水着で海の家風なレストランというアイデアもありましたね。却下しましたが。」

「水着はなぁ。」

なお一部には今年もちょっと男性が集まりそうな物をとの声があった模様だが、やはり横島に近い少女達が拒否したらしい。

あからさまに男性を狙うと女子が来にくくなるし、正直海で水着になるならばともかく不特定多数のスケベな男に見られたい者は少数派なのだ。

水着を言い出した者も半ば冗談なので決まっても嫌がる可能性もなくはない。

当然横島も水着は嫌そうな顔をする。

やはり横島は自分が見るならば構わないが、他の男に身内の少女達の水着を見せたいはずがない。

流石に俺のだとまでは口には出さないが、ここまで一緒に居て好意を持たれてると実質的に独占欲も生まれている訳だし。


「ギリギリになる前に決めなきゃあかんぞ。」

今年も徹夜だなと、なんとなくそんな予感をしつつ横島はまあなんとかなるかと楽観的でもあった。

ダメなら異空間アジトで休憩すれば少なくとも身内は大丈夫なのだし。



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