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二年目の春・7

「タマちゃん。ここでお店やるんよ」

「おみせ? なんにもないよ?」

麻帆良祭まで残り十日となるこの日、いよいよ麻帆良祭で使う仮設店舗が完成したと聞き、放課後になると横島は店を閉めて3ーAの少女達と訪れていた。

場所は去年と同じ大学部のある地区の空き地で、当然雪広グループのパビリオンの一角になる。

店舗の建物は昨年と同じ再利用した物なので、横島と少女達は懐かしさを感じるがタマモは何もないフロアを不思議そうに眺めていた。


「これからみんなでお店も作るんよ」

「おみせつくるの!? だいくさんは?」

一応説明はしていたのだが、タマモ的にはまさか店舗から作るとは理解してなかったようでビックリしてしまう。


「大工さんは居らへんけど、去年も作ったから大丈夫や!」

「わたしがだいくさんになるの!?」

「そうやね。タマちゃん大工さんになるんよ。」

「うん! わたしだいくさんになる!」

木乃香と手を繋ぎながらフロアや厨房と見ていくタマモは、クンクンと匂いを嗅ぎながらも、自分の匂いをつけるように壁や調理台なんかをペタペタと触っていく。


「椅子とかテーブルは、やっぱちょっと変わったのがいいな。」

「外観はどうするの?」

「いっそ列車とかの車両でも持ってこれないかな?」

「何馬鹿なこと言ってんのよ。 出来るわけないじゃん。」

一方今までは横島達や超一味に任せっきりな少女達も、ここに来ればやる気を出していて好き勝手な意見ではあるが、それぞれにアイデアや意見をくちにしていく。

大まかな構想はあるが、やはり外観や椅子やテーブルなどの内装は決まってない。

立体映像を生かすには多少の手は加えたかった。


「外観かぁ。 目立つのがいいよな。 スペースシャトルとか飛行機とかどうだろ。 どうせなら変型合体とか出来れば面白いんだが。」

「レストランに変型や合体は不要ですよ。」

「ロボット研究会を巻き込めば出来そうネ。」

「いや、要りませんからね。 変型も合体も。」

ちなみに横島は夕映と超鈴音と外で外観を眺めてどうするか話していたが、何故か突然変型や合体などおかしなことを言い出した横島に超鈴音がやれるかもしれないと乗るので夕映は二人を止めていた。

無論冗談なのは理解するが、横島と超鈴音の場合は冗談を真面目にやってしまうような、とんでもないところがあるので少し不安だったようだ。


「女の子がいっぱい来るようなお城とかもいいな。」

「田舎のラブホテルみたいな外観になりそうネ。」

「行ったことあるのか?」

「秘密ヨ。 マスターはないのカ?」

「あるに決まってるだろ! 俺は大人だぞ!」

なお横島と超鈴音は途中から何故かラブホテルの話をしていて、行ったことがあるのか無いのかと話していた。

ただ妙にむきになって行ったことがあると言う横島に、超鈴音と夕映は無いんだろうなと理解していたが。

まあ夕映はラブホテル以前に、彼女が居ないはずがないと思ってるので、どうしていたのだろうとちょっと気になってはいるが。

流石に聞けないので黙って二人の話を聞いていた。

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