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二年目の春・7

「別にいいけど大丈夫なのか?」

「はい。雪広食品の方が代わりに作ってくれます。」

一方二年目となる麻帆良カレーは独自の出店を出すことになるようだが、麻帆良カレー公式提供店のカレーを一同に集めた麻帆良カレーフェスティバルにするようであった。

ただここで問題になったのは元祖と言える横島が忙しくて店を出せないことだが、横島の代わりに雪広グループの食品部門の開発担当者がやることになり近日中に研修にくると聞かされた横島は少しだけ不安げだった。


「まあ、そんなに難しいことしてないんだけどさ。」

元々麻帆良カレーは中学生でも作れる程度にしてるため難しい技術は極力使ってないが、市販のカレー粉やカレールーではなく香辛料から作っているので簡単な割に本格派な味になっている。

ただまあ見知らぬ誰かに任せて大丈夫なのかとは若干思うらしい。


「あと春祭りで出したカレーおでんも出すそうです」

「ああ、あのうどんにするの流行ったやつか」

当初は3ーAで今年も作るなら連携してやることも模索したらしいが、横島も少女達も新しい物がやりたいと作らないことにしたので独自企画になったようだった。


「随分派手にやるが、人来なかったら責任感じるな。」

「来ますよ。実は麻帆良カレー実行委員会には地方からの視察も最近来てますから。」

「視察って何しに?」

「いわゆる町おこしに使えるのではと一部で噂になってるようでして。地方初のグルメがメジャーになり地元にも観光客がというのは過去にも例がありますから」

一年前を思い出し懐かしさを感じる横島であるが、麻帆良カレーは新たな地方活性化の鍵になるのではと最近注目を集めている。

近年では牛や豚に鶏などブランド食材が地方に行けば乱立と言っていい程増えているが、結局大半は泣かず飛ばずで地元でもそう言えばあったなという程度の認知度しかない物も多い。

古くはテーマパークなどが乱立したこともあるし、新たな可能性として新しいご当地グルメでもどうだろうかと目を付けた人達が居るようだった。


「そう上手くいくか?」

「さあ? それは麻帆良カレーの実行委員会の人にも分からないそうですよ。 ただ学生と協力して町おこしをするという観点からも注目をされてるです。」

「麻帆良カレーは雪広グループがバックアップしたからな。 あれがなきゃ今ごろ忘れ去られてたぞ。」

「ええ。 雪広グループの方には是非うちの町でも協力してほしいという話が舞い込んで困ってるようです。 早々何度も同じことは出来ないですから。」

二引目のドジョウを狙うというのか何というのか、麻帆良カレーは今も地味に影響力が広がっていていい面ばかりでない厄介事も生まれてるようだった。

こういった問題は地元の行政や人や企業が協力しなくてはならないが、雪広グループのような大企業だと期待値も高いだけに協力して泣かず飛ばずだったら、損をするばかりか評判を落とすことにもなりかねず困っているらしい。

結局アドバイスくらいはしてるようだが、いざ開発や商品化となると協力は難しいのが実情のようである。

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