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二年目の春・7

「相変わらず綺麗どころが多いな。」

「マスターいい人だしな。 野球の時に実感したよ。」

一方横島の店は木乃香とのどかと明日菜とさよとタマモで営業して賑わっていたが、とある男子大学生の二人組は近くに来たついでに店に来ていたがお客さんの女の子の多さに驚いていた。

木乃香達と横島の関係は最早麻帆良では有名でリアルハーレムだと噂になっているのは今更だし、アナスタシアと刀子も店の客以上に個人的に親しいのが最近は大学生にまで知られている。

しかし店の女の子の多さには来てから驚く者も少なくない。


「誰だっけ。 マスターは女ったらしで周りの女の子が実は騙されてるんだって騒いでたの?」

「ああ。 誰だっけ。 実際に一緒に居るの見ると騙されてるようには見えんよな。」

無論横島に批判的な人間もそれなりに居て、特に嫉妬深く横島と直接会ったことがない人間ほど中途半端な噂から勝手に真実を決めつけて批判する人間もまあ割といる。

だが実際に横島と女性陣を見てる人間からすると、少女達のイキイキとした様子に騙されてるのとは違うんじゃないかと理解する人間は多い。

それ故に大学部には見守る極秘サークルまであるのだが。


「何人お手付きなんだろうな。 アナスタシアさんと刀子先生に姫も確定だろうし、夕映ちゃんとのどかちゃんも見た感じベタぼれだよな? 後も流石に全く何もないとは思えんし。」

「でもさ。 あんだけ人数が居たら逆に手を出すタイミング無くないか? デートとかいつするんだよ。 店は土日もやってるぞ?」

男子大学生達は横島達の関係を勝手に推測して盛り上がるが昨年の麻帆良祭の写真の件もあるし、木乃香はもう横島と深い関係だろうとかなりの人に見られている。

二十歳そこそこの横島が当時中二の少女とやっちゃったなんて犯罪ちっくな話だが、世代間の交流が盛んな麻帆良では実は珍しくなく逆に何もしてないと本人達が話してもにわかには信じない人間は多い。

元々横島にあった女の子が苦手だという噂は奇しくもアナスタシアの噂と共に消えはじめていたので余計にそっちの噂がいろいろとされている。

他にも年齢的に刀子もまあただの友人ではないと勝手に見られているしアナスタシアは噂が噂なので当然そう見られていた。


「これで未成年には全く手を出してなくて、実は紳士だったとかってなれば面白いんだが。」

「いや、それはないだろ? 我慢できるか? 普通に考えて。 でもマスター金持ちらしいし風俗とか行ってるって考えれば周りには紳士な可能性も。」

正直な話若い男子大学生にとって横島達がどうやって付き合ってるか興味津々で、はっきりとモテる秘訣を教えてほしいとさえ溢す。


「ねえ、横島さんってそう言えば夜に一人で出掛けたりする?」

「時々出掛けますよ。 ほとんど学園長先生のところに行くって。」

「本当に学園長先生のところにかしら?」

一方耳がいい明日菜は男子大学生の下世話なひそひそ話が聞こえてしまい、横島がまさかと思いつつ少し疑いを持ってしまっていた。

若い男性の欲求なんて明日菜でも知ってるし横島が自分達に何もしてないのは大切に考えてくれてるからだと理解もしてるが、同時に横島がキャバクラや風俗なんかで遊んでるかもと考えると心の中に嫌だという否定的な感情が沸き上がり不安にもなっている。


「うーん。 多分嘘はついてませんよ?」

「なんで? 横島さん瞬間移動出来るし実際にどっか行っても分からなくない?」

「知らない女の人の匂いとかすればタマちゃんが気付くと思いますから。」

「えっ!? そうなの?」

「はい。 タマちゃんの鼻の良さは凄いですよ。」

少し嫉妬に心が傾きかけた明日菜を止めたのはさよだった。

伊達に一年も一緒に住んでなく横島とタマモのことをちゃんと理解しているさよは、少なくとも嘘をついて他の女の人がいる飲み屋とかには行ってないだろうと理解していた。


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