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二年目の春・7

「お肉だ!」

さてこの日は少し早めに店を閉めて桜子の誕生パーティとなる。

メンバーはいつものメンバーであるが、何かと食いしん坊な桜子に合わせてこの日のメインはステーキにしていた。


「きょうはね。 さくらこちゃんのたんじょうぱーてぃなんだよ!」

「えへへ。 タマちゃんありがとう!」

相変わらずサプライズという名の恒例行事であるが、タマモ的にはサプライズに意味があるというかバレてるとまだ気付いてないらしい。

ビックリした?と言わんばかりのタマモを桜子は抱き上げてやると嬉しそうに抱き締めていて、タマモもそんな桜子に満足げである。

ほぼ月一か月二での誕生パーティになっているがこれはこれで慣れると楽しみになっていて、時期的に忙しい刀子と高畑なんかもこの日は実は少し無理して早めに帰って来ていた。

まあ麻帆良学園の場合は元々がメガロメセンブリアの魔法使いが運営していたので、時には家庭や恋人など私生活を優先させても問題ないという日本らしくない雰囲気や慣例が昔からある。

余談だが日本の一般的な公立校と違い教職員の時間外残業に関してもかなり厳しく、部活の顧問や監督を半強制するなんてことは行われたことはない。

実際のところ高畑や刀子も文化部の顧問にはなってるがほとんど指導らしい指導はしてなく、大会やなんかに付き添いする程度であとは卒業した先輩やOBが指導している。

麻帆良学園全体を通した生徒達の交流の活発なことと、現役とOBの繋がりの強さが麻帆良学園の強みであり特徴だった。

給料もそれなりにいいので教員を目指す学生には人気であるが、基本的には麻帆良学園では同じ同校教育学部卒が採用のほとんどを閉めて外部からはごく少数の採用しかないが。

学校が独特過ぎて外部から取っても着いていけない教員が出るのが外部採用が少ない訳であったりするし、学校の運営や教育方針の違いから教員系の団体と絶縁してることも理由にあったりする。

なお女子中等部などで理由に問わず困ったら仕事の調整や代わりをしてくれてるのが新田先生であり、厳しい指導から生徒には煙たがられたり怖がられたりしてるが教員達には頼りにされていた。

この日高畑と刀子の仕事を調整してくれたのも新田であり、厳密に言えば家族でも恋人でもないがタマモが楽しみにしてると事情を話したら笑って調整してくれたなんて裏話もある。


「うおー! 今日のお肉も美味しい!!」

ステーキはリブ・ロース・サーロインなどいろいろ用意していてあっさり塩コショウの味付けからソースまでリクエストに答えていた。

肉も神戸や松阪など有名どころではないが国産の最高ランクのAー5の物になる。

ブランド牛は有名無名合わせると全国に数多く、今夜の肉は雪広グループが無名のブランド牛を支援する形で販売に協力してる品で有名ブランド牛よりはお手ごろで美味しい肉だった。


「あんたとタマちゃんって本当美味しそうに食べるわよね。」

誕生パーティの主役ということでタマモの隣に座る桜子とタマモが、同じタイミングで切り分けた大きめのステーキを頬張ると周りからは何故か笑い声が上がる。

まるで何かのCMのように美味しそうに食べる姿に思わず笑ってしまったらしい。

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